国内損保・大手8社トップインタビュー--新商品の開発は進むか

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日本興亜損保 兵頭誠社長
再編では下手をすると代理店機能を損ないすよ

 自動車の保有台数が減り、ガソリン高騰で自動車が小型化し、それによって保険料は下がってきています。いちばんの主要種目である自動車保険が下がるわけですから、これは非常に厳しい状態であることは間違いないのです。

マーケットがこれ以上大きくなるわけではないですから、今の保険会社の数が適切なのか。当社の場合すと、グループ内のそんぽ24なのか、従来の日本興亜損保の商品を選ぶのか。これはお客様の選択の機会が増えるわけですから、もう少し様子を見ないといけないと思っています。

ただ、再編といっても、1プラス1が下手をすると1・5になる可能性があります。損保には代理店組織があり、話し合いが進まないと、代理店が皆いなくなる可能性があるわけです。ですから、将来、再編はあるかもしれませんが、よく考えないといけない。

社員には常々、損保会社の社会的な公共性を忘れてはいけないと話しています。不払いの問題など、いろいろな問題起きていますが、これはお客様の視点に立っていなかったわけです。収益を上げようと思えば、いい契約をいっぱい取り、事業比率を下げることです。でも、人件費を下げるとなると、それだけ人材は不足していきます。それでは、本当にお客様に対する説明や代理店に対する指導も、できなくなってしまいます。

保険金の不払いの問題だって、従業員の中には気づいていた人がいたかもしれない。心の問題をやっておかないと、また競争が始まってしまいます。その意味で、人材育成、中でもリスクコンサルティングと損害調査にいちばん力を入れています。

今後、自動車保険は5割だったのが3割に、火災保険も減っていくかもしれない。マーケットは縮小してしまうかもしれませんが、損保が健康保険の部分を考えていく可能性もあるわけです。これから違うリスクがどんどん出てくるのではないでしょうか。

過去、当社の収益はずっと落ちています。それを2008年は、自賠責を除いた正味の収支残高を20億円残そうという目標でやっています。右肩下がりをいったん止めないと、ずるずるいってしまいます。その止め方はいろいろあるのでしょうが、これから3年後、5年後には、少々の台風や株価変動があても耐えられる、財務基盤の強い会社にしたいと思っています。

当社は当社なりの、独自のものを考えて生きていくことはできると思います。変な話ですが、非財閥だからこそ、お客様の選択肢の一つに入れるチャンスもあるわけです。従来からある地方の金融機関や非財閥系の企業といったところを柱に、環境に強い、医療に強い、社会保障に対してもしっかり目を向けている、そういう強い会社になりたいと思っています。

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