ネイティブレベルの英語力は本当に必要か ビジネス英語のハードルはどんどん下がっている

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英語がコミュニケーションの障害になる時代は終わるか

さらに、テクノロジーの進化がこの流れを加速している。Google翻訳を使えば、未知の言語でもおおよその意味がわかる。私自身も、韓国語・中国語などで書かれた私の本のレビューを日本語に簡単に翻訳して楽しんでいる。

将来的には、自動翻訳・通訳機能も出てくるだろう。英語がグローバルコミュニケーションの障害になる時代は、そう遠くない将来に終わるかもしれない。

「かつて、会計で仕事をするには、まずソロバンを習得しようという時代があった」というのは、今ではただの笑い話だ。同じように、「かつて、グローバルで仕事をするには、まず英語を習得しようという時代があった」というのが、ただの笑い話になる時代がやってくるかもしれない。

英語は大事だ。しかし、会計の世界でソロバンがただのツールにすぎなかった(しかもその後、電卓、表計算ソフトなどに次々と置き換えられていった)のと同様に、英語もグローバルで仕事をするためのツールにすぎない。そして、必要な英語力のレベルは確実に下がってきている。

このような時代だからこそ、グローバルコミュニケーションでは、ビジネス力そのものがますます重要になってくる。これが本連載で伝えたかったことだ。

『100円のコーラを1000円で売る方法3』の最後で、主人公の宮前久美が海外事業責任者に抜擢される。しかし、久美のTOEICの点数は悲惨だった。心配する仲間に、久美はこのように言い放つ。

「海外で仕事するのに、英語ができるかどうかなんて関係ないのよ。大事なのは、ハートよ。要は、海外でビジネスをやる気があるかどうか。やる気さえあれば、英語なんてどうにでもなるわ」(第3巻p.220)。

大事なのは、ハートだ。みなさんのご活躍を祈っている。

永井 孝尚 マーケティング戦略コンサルタント

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ながい たかひさ / Takahisa Nagai

慶應義塾大学工学部を卒業後、日本IBMの戦略マーケティングマネージャー、人材育成責任者などを経て、2013年退社。同年、多摩大学大学院客員教授を担当。マーケティング戦略思考を日本に根づかせるため、ウォンツアンドバリュー株式会社を設立。多くの企業・団体へ戦略策定支援を行う一方、毎年2000人以上に講演や研修を提供。2020年からはオンライン「永井経営塾」主宰。著書に60万部超『100円のコーラを1000円で売る方法』シリーズ、15万部超『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』シリーズ(すべてKADOKAWA)など。著書累計は100万部超。

オフィシャルサイト

X(旧Twitter) @takahisanagai

永井経営塾

 

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