大量の脱北者を防ぐには「体制保証」しかない 「経済特区を用いた高度経済成長」が現実解だ

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――北朝鮮に対する国際的な制裁に違反することなく、南北が経済協力することは可能か。

「協力できる分野は限られている。明白な資金移転が禁じられているからだ。だが、協力可能な分野はいくつか残っている。人道支援や北朝鮮の学生を対象にした教育・研修プログラムは有力な選択肢となろう」

「人材育成プログラムは将来の経済成長にとって極めて重要だ」

「制裁が解除された段階で、北朝鮮はようやく経済近代化に向けた取り組みを本格化することができる」

北朝鮮の道路は劣悪

――4月の南北首脳会談で採択された板門店宣言で、韓国と北朝鮮は「2007年の10月4日宣言(南北共同宣言)で合意した事業を積極的に推進」することで一致し、「経済の均衡的な発展と共同繁栄を成し遂げる」とした。優先すべきプロジェクトとは。

「10月4日宣言に盛り込まれている鉄道事業に加えて、北朝鮮は十分な電力を発電し供給することに力を注ぐ必要がある。物流、観光、建設、不動産などの成長産業を支えていくためだ。発電所建設などを通じて、韓国が協力できる分野だろう」

「物流産業は特に重要だ。他の産業にも波及効果があるだけでなく、韓国など近隣諸国の経済活性化にもつながる。南北が手始めに手掛ける事業として理想的だ」

「北朝鮮の道路は劣悪で、使える部分がどんどん減っている。列車や鉄道は、ほぼ完全に時代遅れだ。板門店宣言で『鉄道と道路を連結し、現代化』すると述べたことは、南北の経済統合にとって非常に大きな意味がある。北朝鮮の交通網と物流セクターを発展させていくのに欠かせないステップだ」

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