老舗の「東京會舘」、建て替えで始まる大改革 19年1月開業の「新本館」は何を守り、変えるか

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東京會舘は2012年11月、同じ丸の内3丁目にビルを保有する三菱地所(富士ビル)、東京商工会議所という3者が共同事業者となり、この地域での再開発を決定。2014年1月から当時の本館(1971年開業の2代目本館)の営業を休止し、建て替えを進めている。

今回、東京會舘が発表したのは2019年1月8日に開業が決まった、3代目となる新本館の概要だ。建物の名称は「丸の内二重橋ビルディング」。3者が共同保有し、敷地面積9900平方メートル、延べ床面積は17万3000平方メートル。地下4階、地上30階建てで高さは約150メートルと、ほぼ「丸の内ビルディング」と同じサイズの建物になる。

東京會舘はこのうち地下1階から地上4階、同7階などでレストランや宴会場を運営。合計1万7000平方メートルを占有する計画だ。

外部の力を数多く導入

東京會舘は3者共同で建て替えを行うことで、費用負担を約200億円に抑え、自社単独では難しかった設備の大型化を進める。

たとえば、従来は複数階に分かれていた宴会場を、新本館では3階と7階に集約。特に丸の内最大規模となるの宴会場「ローズルーム」は立食パーティなら1800人まで対応な規模となった。最新の音響機器や500インチの超大型スクリーンを導入し、国際会議などにも対応する計画だ。また大型バスが駐車可能な車寄せも設置する予定だ。

外部の力を導入するのは、こうした施設のスキームだけではない。

冒頭のように総料理長を招聘するほか、新本館のコンセプト設計やブランディングには、商業施設のブランディングに実績のある柴田陽子氏をプロデューサーに起用。婚礼では、ハウスウエディングに強みを持つ、テイク&ギヴニーズ社と提携し、マーケティングや接客に磨きをかける。

3階の大部分を占める大宴会場「ローズルーム」のパース。立食パーティなら1800人の収容が可能だ(画像:東京會舘)

また5月中旬に発表した役員人事では、大手シティホテル出身者を営業担当役員に、投資ファンド出身者を経営企画担当役員にそれぞれ抜てきすることも公表している(正式就任は6月の定時株主総会後)。

このように外部のノウハウをかき集める理由を渡辺社長は「爆発力が欲しかったから」と説明する。

1971年に営業を開始した2代目本館は地上12階、地下5階で敷地面積が約2700平方メートル。建設にかかった期間はわずか2年足らずだった。今回は3者合同で、規模が大きくなったため、休止期間は4年にわたる。

その間、当社が受注していた法人宴会の一部は他社に流れたほか、結婚式の実施件数も減少している。そのため、今回は外部のノウハウを活用し、旧来の東京會舘ではなし得なかった新しいトレンドを導入。「4年間の休止を乗り越えて、勢いを取り戻す」(渡辺社長)狙いがある。

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