富士フイルムが低価格コンデジに訣別宣言 ミラーレス一眼カメラにおける世界シェアを倍増へ

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富士フイルムは、この新製品投入により、ミラーレス一眼デジタルカメラの世界出荷シェアを、従来の5%から2014年3月期中に10%に引き上げる方針を明らかにした。 そこで飛び出したのが冒頭の発言。2013年度は700万台以上の出荷を目標としているが、コンデジの不振が続き、達成は厳しいという。

スマホが低価格機を侵食

18日にはタッチ&トライも実施。多くの記者が実際に手にして使用感を味わっていた

富士フイルムだけではなく、コンデジは各社とも一様に不振が続く。これはアイフォーンをはじめとするスマートフォンの普及により、コンデジの市場を急激に侵食しているためだ。

カメラ映像機器工業会統計によると、1~8月のコンデジの総出荷台数の累計は3008万台。前年同期比45.7%減という衝撃的な減り方だ。

ソニーは期初の5月時点では年間1350万台の出荷を想定していたが8月時点で1250万台に下方修正している(前期は1700万台)。「コンデジをどうしていくか各社とも悩んでいる。スマホにはかなわない。防水など特殊なコンデジは利益率も高いので残していくが、通常の普及機にはもう力を入れない」(田中取締役)。今後はミラーレスと中・高機能コンパクトデジカメに集中するという。

オリンパスやソニーもミラーレス一眼カメラや高級コンデジに経営資源を集中する戦略を明らかにしている。各社とも目指す道は同じ。低価格コンデジに続き、この分野も競争が激化しそうだ。
 

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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