トヨタ「C-HR」、SUV1位の裏に透ける息切れ感 「RAV4」の来春登場後も王座を保てるか

拡大
縮小

ただし、来年春以降はC-HRにとって「内なる敵」が加わる。トヨタがクロスオーバーSUV「RAV4」を日本で復活させるからだ。C-HRよりも多少ボディサイズは大きいが、SUVブームの中で新型車として登場すれば、C-HRとの比較検討でRAV4にユーザーが一部流れる可能性はある。実際、C-HRの上級モデルはハリアーとの価格差が少ないので、ハリアーが相乗効果で売れている側面もある。

C-HRがSUV王者を続けていけるかというと微妙

RAV4は、最近の流れからトヨタ4系列すべてで取り扱うことになるだろう。トヨタにとってはオールトヨタでさまざまなSUVを売っていける態勢が整うのは喜ばしい半面、ハリアーやRAV4などのトヨタ内での選択肢が増える中で、C-HRが単独車種としてSUV王者を続けていけるかというと微妙になるかもしれない。

日産やホンダは「新車販売でクラスナンバー1になりました」などと、テレビコマーシャルでのフレーズなどとして積極的に使用している。トヨタとしてこのような動きを意識していないとすれば、それは嘘になるだろう。しかし、それに付き合う必要はないと考える。すでにトヨタがグループ全体で見れば、国内販売シェアナンバー1であり、トヨタ車が日本で一番売れているのは誰でも知っている。いまさら「クラス販売ナンバー1」などというフレーズがトヨタに必要なのかと思ってしまう。

このようなフレーズ争いに付き合えば、自社登録やフリート販売などの、“行儀の悪い販売”がどうしても目立ってくる。それは中古車相場の下落を招いてしまいかねない。

個人的には2017暦年でC-HRがSUV販売ナンバー1になったのだから、この流れで新型RAV4をタイムラグなく日本市場へ導入して、次の一手を打ち、さらにラインナップの拡充を進め(可能ならばインドネシアで販売されている新型ラッシュなども日本に輸入してしまうとか)、「SUVならトヨタ」というアピールをする手もあると思う。それはマーケティングなどの面で見れば“素人の浅知恵”なのだろうか。

小林 敦志 フリー編集記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

こばやし あつし / Atsushi Kobayashi

某メーカー系ディーラーのセールスマンを経て、新車購入情報誌の編集部に入る。その後同誌の編集長を経て、現在はフリー編集者。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT