鉄鋼メーカーが今、新興国展開を急ぐワケ

カントリーリスクを凌駕する、もう一つのリスク

調印式に臨んだ神戸製鋼の川崎博也社長(中央右)はにこやかな表情を見せた

“今さら”なのか、“今だからこそ”なのか――。大手鉄鋼メーカーが新興国での展開を急いでいる。

神戸製鋼所は10月17日、中国の鞍山鋼鉄集団と合弁でハイテン(高張力鋼板)の製造販売会社を設立すると発表した。遼寧省の鞍山製鉄所の敷地内に、約289億円を投じて年間生産能力60万トンの加工設備を建設する。神戸製鋼の出資比率は49%で、2016年初頭の稼働を目指す。

ハイテンとは、自動車のフレームや車体に使われる高級鋼の一種。一般の鋼板よりも軽量でありながら、強度は高い。軽量化による燃費改善を狙って、日米欧の自動車メーカーは車体の材料として多く使っている。

中国の自動車生産台数は、乗用車やトラックも含めれば12年に1927万台に達しており、日本(994万台)や米国(1032万台)を大きく上回る。現在は比較的緩やかに運用されている排ガス規制も、20年には先進国並みに強化される見通しだ。

排ガス規制への対応には自動車の軽量化が必須。「中国では今後、ハイテンに爆発的なニーズが生まれる。市場の拡大スピードを考えると、今がギリギリのタイミングだ」と、神戸製鋼の山口育廣副社長は今回の投資決断に至った背景を語る。

国内大手2社も展開を加速

中国をはじめとした新興国で生産体制の整備を進めているのは、神戸製鋼だけではない。

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