「鎌倉新書」の葬儀サービスはなぜ伸びるのか 楽天から転じた相木孝仁社長に聞く

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村上:御社の沿革を拝見したところ、ネットビジネスへの進出にはかなり以前から取り組んできたようですね。

相木:実は、「いい葬儀」というサイトを立ち上げたのは2000年で、「いいお墓」と「いい仏壇」についても2003年からサイトの運営を開始しています。最初はしきたりやマナーなどの情報を提供するサイトにすぎなかったのですが、長い時間を費やしながらいろいろと形を変えていき、現在のビジネスが確立されていきました。試行錯誤を続けていく中で、「そんなに情報を豊富に集めているなら、いい葬儀社を教えてください」という声が寄せられ、それに応えて紹介ビジネスへと結びついていったのです。そもそもこのビジネスは、10代をターゲットにゲームを開発するケースなどとは違い、結果が出てくるまでにかなりの時間がかかるものです。当社のサービスを利用なさるご利用者様はもっぱら40代後半〜60代で、おそらくはお亡くなりになった人のお子さんでしょう。最近になって、ようやくこうした世代の間でもインターネットを活用した生活が浸透してきたことも、我々のビジネスの成長へと結びついているようです。

(写真:Signifiant Style)

村上:御社のサービスの浸透度とご利用者様のITリテラシーの向上がちょうど重なってきたわけですね。一方で地域的な戦略については、やはり都市部の開拓を優先してきたのでしょうか?

相木:そうですね。地方の場合は今でも、親類に葬儀社を紹介してもらえるケースも多いでしょうし、差し迫ったニーズは限られているようです。とはいえ、楽天やAmazonのようなeコマースがそうであったように、いずれは都市部と地方におけるニーズのギャップは縮小していくものと思われます。我々もそれを見据えて、徐々に地方の開拓も進めています。

これから成長が本格化するお墓、葬祭、仏壇の3事業

村上:相木さんが指揮を執る前から立ち上げられていたお墓、葬祭、仏壇という既存事業とともに、新規事業も積極的に開拓していく方針だとうかがっています。そのうち、まず既存事業については、どのような部分に成長余地があるとお考えですか?

相木:現状においては、墓地・霊園、葬儀社や仏壇店を探しているご利用者様をネット上で集客し、意向に沿った事業者とマッチングしているのが我々のビジネスです。しかし、たとえば最近の墓地・霊園のケースですと、我々が現地見学の予約を入れるところまでお手伝いするというアプローチもはじめています。従来のように事業者が直接アポイントを入れようとすると、ご利用者様はどうしても身構えてしまいがちです。その点、第三者である当社であれば、安心して見学の予約をしていただけます。

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