未来のコインランドリーが「無料」になる必然 「WASHハウス」社長にロングインタビュー

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児玉:そこで、まずは仲介業で起業すると同時に、人口減少があったとしても、今後、市場が伸びていくようなビジネスを探していました。

小林:なるほど。ある意味、見切り発車のような形で不動産仲介業で起業し、後から将来性のある事業を探したわけですね。

児玉 康孝(こだま やすたか)/WASHハウス株式会社代表取締役社長。1965年生まれ。宮崎県宮崎市出身。大学卒業後、東京の証券会社に入社。大手ファーストフード店を経て、30歳で宮崎に帰郷する。地元の不動産会社に勤務したのち、2001年に株式会社ケーディーエムを設立。2005年に社名をWASHハウスに変更。以降、現職(写真:Signifiant Style)

児玉:そのとおりです。11月28日に会社を作り、翌年の5月までは不動産業一本でした。5月に、取引先のお客様からコインランドリーをやってみたいと言われたことをきっかけに、詳しく調べてみた結果、この業種の面白さに気づいたのです。

どこに面白さを感じたかというと、現在の市場規模でもコインランドリー業界は成立はしているが、人口に対して、コインランドリーを利用していない人の比率が高いというところです。具体的には、コインランドリーの利用率というのは当時3%しかなかったんです。ですので、利用率を伸ばすことができれば、人口減少が進んだとしても十分な伸びしろがあると考えました。

小林:人口が半分になったとしても、利用率を2倍以上にすれば、市場は縮小しない、という発想ですね。利用率が伸ばせると考えられた理由は何だったのでしょうか。

今までのコインランドリーはサービスが不十分だった

児玉:今までのコインランドリーの利用率が低い理由は、サービスが不十分だからです。当時のコインランドリーと言えば、暗くて汚くて怖いお店ばかりでした。写真を見てみましょうか。

「暗くて汚くて怖いお店ばかり」だった当時のコインランドリー(写真:Signifiant Style)

小林:なるほど。確かに清潔感に欠けますね。

児玉:ここで洗濯しても、衣服や布団が綺麗になるとは思えませんよね。不審者がいるという警告の張り紙も見かけました。そんな場所で女性が洗濯したいとは思わないわけです。一方で、こちらがうちのお店です。ご覧下さい。コンセプトは、明るく、誰でも使えるようなお店です。

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