ここがヘンだよ! 日本の“ガラパゴス観光” JTBグループ本社社長が一刀両断

拡大
縮小

マスコミのみなさん、こうしたところはたいへん失礼ながら、あまり勉強されていないので、そういう話題にならないですよね。ビザにしても、トラブルになっては困るから、できるだけ緩和するなと。先進国では数少ない、移民法がないというのも、そのせいだと思いますね。

外交摩擦と民間観光は別問題

――昨年は尖閣諸島や竹島の問題が出て、インバウンドにブレーキがかかりましたね。

私は、人の流れが増えれば増えるほど、国際平和に貢献すると思います。

空港がハイコストなど、課題は多い

中国や韓国との政治課題には、われわれ民間が言うべきことはないかもしれないけれど、だからこそ逆に民間のコミュニケーションの量を増やさないといけない。

この間、JATA(日本旅行業協会)の「旅博」が終わりましたが、期間中に韓国の旅行業協会(KATA)と会議をして、すごくコミュニケーションができて、お互い頑張りましょうという話になったのです。確かに竹島問題はありますが、民と民との関係は若い人でも関係なくやっているのです。

中国でもツアー客は減りましたが、個人はたくさん来ていらっしゃる。そうした実態を踏まえて、旅博には韓国も中国もブースを出していただいた。そういう事実をもっともっと知っていただかないと。

日本は政治課題が多いと民間交流の会議もやめてしまうため、どうしても解決に時間がかかる。でも欧州や米国では、ツーリズムに関しては政治課題と民間の課題をはっきり分けています。

民は民で議論するし、政は政で議論するバランスがうまく取れているから、政治課題があっても、観光による国際交流はあまり減らない。

日本人は島の中にいるから、リスクに対する免疫力があまりない。個人的には、そういうところが300年間の鎖国を続けた原因だと思っています。

明治維新からまだ150年ですから。われわれは国家がオープンになってから、鎖国の半分の期間しか経験していないので、そうした考え方がまだ残っているのではないか。

次ページ観光当局の予算が、世界最低!
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT