現地合弁でブラジルの洋上設備需要を狙う 川崎重工業 村上彰男常務(船舶海洋事業統括)

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海運・造船バブルの終焉とアジア勢の攻勢にさらされ、苦境に立つ日本の造船業。伝統的な商船の建造は先行きが厳しい中、大手各社がこぞって熱い視線を送るのが、市場拡大が続く海洋資源開発向けの洋上設備だ。
東洋経済オンラインでは、産業レポート(関連記事「構造不況の造船、海洋資源に走る」)に加え、業界のキーマン2人のインタビューを掲載する。ひとり目は川崎重工業の村上彰男・船舶海洋カンパニープレジデント。国を挙げての海洋油田開発が進むブラジルへの進出と事業展開、さらに国内造船所の生き残り策について聞いた。

――ブラジルの新興造船会社、エスタレーロ・エンセアーダ・ド・パラグワス社(EEP社)の経営に参画(3割出資)し、現地での合弁事業として、海洋資源開発向け洋上設備を建造する計画です。

一昨年にEEP社から技術指導と出資の話がきて、昨年5月に正式な契約を締結した。当社はこれまで中国で現地企業と2つの合弁造船所を一から立ち上げ、今では中国を代表する造船所に育っている。それをよく知っているEEP社の関係者がいて、「日本の川崎重工なら信頼できる」と、事業パートナーとしての誘いをいただいた。

ブラジルは「プレサル」と呼ばれる深海部の巨大な原油埋蔵地帯が発見され、国営石油会社のペトロブラスによる大規模な開発投資が進められている。資源関連の洋上設備マーケットとして、最も有望な地域だ。EEP社はまだ造船所を建設している段階だが、すでにペトロブラスから1隻600億~700億円もするドリルシップ(掘削船)を6隻受注している。同社を通じて、ブラジルの旺盛な浮体設備需要を取り込んでいく。

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