半額以下は当たり前! 続々襲来するアジア超格安エアラインの衝撃

今年夏、全日本空輸(ANA)のある調査団がアジアを代表する格安航空会社(LCC=ローコストキャリア)に次々と搭乗した。エアアジア(マレーシア)、ジェットスターアジア航空(シンガポール)、タイガー航空(同)、ノックエア(タイ)、ジェットスター航空(豪州)の5社を4日間で制覇。その間、乗務員の接客態度や機内の雰囲気、運賃などあらゆる項目を顧客目線でチェックした。マレーシアとシンガポールでは、簡素な設備の格安航空専用ターミナルも視察。レポートをまとめた調査団の一人は、「すべての社員がLCCであることに誇りを持っていた。安かろう悪かろうとは全然違う」と絶賛する。

エアアジアは運賃30円 無料キャンペーンも実施

ANAの山元峯生社長は「LCCを迎え撃つ準備が必要」と語る。今年4月にはLCC設立準備の拠点を香港に設置し、年内にも方向性を示す。ここまでANAが焦燥感を募らせたのは、激戦区のアジアで実力をつけたLCCが格安運賃を武器に相次いで日本に上陸するからだ。

11月20日に関西国際空港に就航するフィリピンのセブパシフィック航空は、マニラ便が往復約1万円。キャンディス・イヨグ・バイスプレジデントは「搭乗率8割が目標。来年以降はもっと日本に飛ばす」と意気込む。関空に昨年就航したジェットスターは、12月18日からLCCの定期便で初めて成田国際空港にも参入。「首都圏でもっと集客力を上げたい」(マーク・ダル・プラ・グループゼネラルマネージャー)と話す。就航記念では豪州屈指の観光地、ゴールドコースト便が往復3万円と格安。タレントのベッキーさんを起用した広告宣伝費に20億円を投じた。

LCC設立ラッシュに沸く韓国勢も、すでに済州航空が今年夏から格安チャーター便を地方空港に飛ばすなど、群をなして来そうだ。その中、独立系でアジア最強とされるエアアジアも来年の日本就航を表明した。

エアアジアは毎日がバーゲンセール。たとえば、クアラルンプール-シンガポールの片道運賃は、搭乗1週間前予約だと約1000円。2週間前で約430円、3カ月前だと約30円と破格だ。さらに無料キャンペーンも頻繁に実施する。同区間の飛行時間は約1時間。東京-大阪と同等だが、安くても片道1万円以上する日系会社とは雲泥の差だ。それでいて赤字ではない。2007年度の売上高は約510億円、税引き前利益は約90億円と収益力は抜群だ。

エアアジアのトニー・フェルナンデスCEOは、「運賃は大手より平均50~60%割り引く。日本就航記念は東京-クアラルンプールを25ドル(2500円)で飛ばしたい」と鼻息が荒い。加えて「12年までに日本航空(JAL)を追い抜く」「シンガポール航空を買収したい」と野望も大きい。音楽会社出身の同氏は赤字航空会社を約30円で買収。マレーシア航空からも国内路線を多数引き継ぎ、設立7年足らずでアジア最強のLCCへと変貌させた。ネット販売、機内食の有料化、単一機材への統一などでコスト削減を徹底。乗客1人を1キロメートル運ぶのにかかるコストは約3円と世界で最も低い。JALとANAの11円前後に比べて、そのコスト競争力は一目瞭然だ。

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