入社1年目から差がつく「数字を使う伝え方」 必要な情報を「サンドイッチ」していますか?

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「正確な数字」と「ざっくりな数字」のどちらを求められているのかすぐに判断する自信がない方は、普段から「いまはどっち?」と意識しておきましょう。

たとえば、経費精算はどうでしょう。まさか、「ざっくり5000円くらいでお願いします」なんて申請はしませんよね。精算の担当者は正確に報告してくれないと困ってしまいます。

では、ランチタイムに飲食店で少し並んだときはどうでしょうか。店員に「どれくらい待ちますか?」と尋ねたとき、「だいたい10分くらいでご案内できます」とざっくりな数字を答えてもらえば、このまま並ぶのか、ほかの飲食店へ行くのか決めることができます。この場面で正確な時間なんて必要ありません。

「報告」という仕事の基本に関してはさまざまなノウハウやテクニックがあることでしょう。しかし、入社1年目から細かいテクニックに走る必要はありません。「いま求められているものに答える」。この視点を持って答えることができれば十分です。

いま上司は単なる事実(データや数字)だけ知りたいのか、それも踏まえた状況と考察を知りたいのか。正確な情報が知りたいのか、おおまかに把握できればいいのか。これらを推察したうえで、求められていることだけをその場に適した数字で報告する。その意識さえ持っておけば、相手に信頼されるビジネスパーソンになることができます。

入社1年目で学ぶことは、入社30年目でも必要なこと

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今回ご紹介した2つのテクニックは、入社1年目の新人にまずは身に付けてもらいたいことですが、一方でビジネスパーソンならば何年目だろうとつねに使えないといけない技術でもあります。

たとえば、経営者は現場のリーダーに対して当然のように数字での報告や提案を求めます。そんなとき、相手の思考回路に合わせてサンドイッチ形式で報告する。正確な数字かざっくり数字か、TPOに合わせて瞬時に判断して伝える。ということは、必要不可欠です。このように、入社1年目だろうと何年目だろうと、使う技術は同じなのです。

あいさつ、名刺交換、電話応対、来客応対、服装、言葉遣い……。入社1年目のあなたがいま学ぶことは本当にたくさんあります。でもこれらは入社2年目の先輩も使う仕事の基本であり、入社3年目も、入社30年目のベテランでも、間違いなく今日どこかで使っている技術です。「数字で伝える」という技術も、これらと同じくらい大切な基本です。

今日からほんの少しでも「数字で伝える」を意識して仕事に取り組んでみませんか?

深沢 真太郎 BMコンサルティング代表取締役、ビジネス数学教育家

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ふかさわ しんたろう / Shintaro Fukasawa

一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事。ビジネス数学を提唱する人材教育のプロフェショナル。公益財団法人日本数学検定協会主催「ビジネス数学検定」1級(AAA)は日本最上位。これまでに指導した人数は、延べ7000人。「ビジネス数学」の第一人者として確固たる地位を築く。企業研修のほか学生やプロスポーツ選手などの教育研修にも登壇。数学的な人材の育成に力を入れている。著書に『「仕事」に使える数学』(ダイヤモンド社)、『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など。2018年には小説家としてデビュー作『論理ガール』(実務教育出版)を上梓。

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