税込み・税抜き、誰のための価格表示? 消費増税後の価格対応は様々。売り手の「論理」は理解されるのか

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売り手側の「論理」は、どこまで消費者の理解を得られるのか――。

 2014年4月の消費増税後の価格表示について、流通業界各社の対応が徐々に固まりつつある。日本チェーンストア協会、百貨店協会が9月、10月に相次いでガイドラインを発表。日本チェーンストア協会は、「本体価格表示を基本とすること」と表明したが、百貨店協会は「現行の『総額表示』に加え、『本体価格』のみの表示を併用する」と、業界の対応が分かれている。

 「本体価格」とは税抜き価格で、「総額表示」とは税込み価格のこと。消費税率が5%から8%に引き上げられると、税込みで1050円だったものが1080円に値上がりする。しかし、これはあくまで増税による値上がり分であり、本体価格をメーカーが引き上げたからではない。この理屈を税抜き価格の表示で明確にできるわけだが、表示方法をめぐる対応は一様ではない。

しまむらは単純明快、税込み価格で売価を考える

そうした中、しまむらの方針はわかりやすい。消費増税後も総額表示を続けるという野中正人社長は「表示方法の変更には、値札の作成機を更改し、値札のレイアウトも一新する必要がある。値札を付け替えないで新しい商品だけ(税抜き表示を)併記するのも大変だ。外税表示は時限立法(2017年まで)で認められたもので、本来、求めてられているのが総額表示ならば、わざわざコストをかけて対応することはできない。お客様も、途中で変わるより分かりすいだろう」と話す。

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