花王が2700円もする「白髪染め」に込めた狙い 超高額商品は停滞市場の「起爆剤」になるか

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花王の高田精千・ヘアケア事業部長は今回投入するリライズに強い自信を示す(記者撮影)

高田ヘアケア事業部長も「白髪染め市場が縮小しているのは理解している。ただ、(ドラッグストアなどの)現場からは『市場を活性化させる期待の商品だ』という声も聞こえてくる」と話す。

リライズの開発は5年前にスタートしたが、着想を得たのは20年も前だという。日本酒メーカーである月桂冠の学会発表を見てヒントを得た。「通常、酒かすは白いが、酒かすが黒くなる黒かすと呼ばれる現象も起きると聞いた。黒くなる原因となっているのが、こうじ菌に含まれるチロシナーゼから作り出されるメラニン。そこからアイデアをもらった」(ヘアケア研究所主席研究員の石野祐司氏)。

あえてケーブルテレビで宣伝

黒髪メラニン由来の製品は2009年に、男性用白髪染め「サクセス ステップカラー」として発売しているが、今回発売するリライズは、より自然な色みに見えるよう工夫し、水につけても問題ないように改良を施した。

プロモーションも工夫する。地上波のテレビCMではなく、あえてケーブルテレビなどでCMを展開する。宣伝時間を長めに確保し、使用方法を丁寧に伝えることで購入を促す狙いだ。

花王の2017年度の業績によると、スキンケア・ヘアケ製品の売上高は前期比1.0%減の3433億円。「ビオレ」などのスキンケアが国内外で好調に推移したものの、ヘアケア分野が足を引っ張っている状況だ。リライズの投入で、白髪染め市場の回復だけではなく、花王のヘアケア分野全体の挽回を図ることができるか。

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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