シリコンバレーで激化する人材獲得競争 技術者には報酬10億円も

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1人で10人分の仕事

ベンチャーキャピタリストは、技術者に対する高い需要の背景には新興企業の増加があると指摘。また、テクノロジーの複雑化も要因に挙げられる。シリコンバレーでよく話題に上るのは、技術者10人分の仕事を1人でこなす「10倍エンジニア」だ。投資会社カウボーイ・ベンチャーズのアイリーン・リー氏は「『10倍エンジニア』をトップに起用することが、他の『10倍エンジニア』を採用する唯一の方法だ」と指摘した。

今年ツイッターに入社したフライ氏もその1人だと、同氏の元同僚は話す。同氏は2005年からクラウドコンピューティング大手の米セールスフォース・ドット・コムで勤務し、ウェブサービス部門のエンジニアリングマネジャーから開発部門のシニアバイスプレジデントにまで登りつめた。

フライ氏がセールスフォースに加わった当時、同社は大手ソフトウエア会社への挑戦という大きな目標を持った設立6年の企業だった。フライ氏は製品開発に注力し、業界内で最も注目される企業の一つとなった同社の成長に貢献した。

ツイッターにとってフライ氏の最大の魅力はこの点かもしれない。ツイッターもサービスの一時停止など、これまで多くのテクニカル問題を抱えてきた経緯があり、フライ氏の経験は非常に貴重なものとなる。

ツイッターからもフライ氏個人からも、コメントの要求に対する回答は得られていない。

経験浅くても高額給与

シリコンバレーでは現在、経験の浅い技術者でも高額の給与を手にすることが可能とされる。ある関係筋によると、グーグルは、アップル入社を検討中だった博士号取得者に対し、年収15万ドルと25万ドルの条件付きストックオプションをオファーし、この人材を「横取り」したという。

IT人材会社ダイスによると、シリコンバレーに勤務するソフトウエア技術者の平均給与は10万0049ドル。前年の11万ドル3488ドルからは下がったものの、労働統計局がまとめたサンフランシスコ・ベイエリアの全職種の平均給与6万6070ドルは大幅に上回っている。

(Sarah McBride記者、翻訳:本田ももこ、編集:宮井伸明)

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