5年後、ジャーナリストは食えますか? 【キャリア相談 特別編】 第2回

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ジャーナリストは分析性で勝負

塩野:もしリスクヘッジのためにやるのであれば、やはり自分をジャーナリストと定義して、速報性、即時性、網羅性よりも、分析性で勝負する。分析性という軸で自分の敵は学者であり、ビジネスパーソンやコンサルタントであり、アナリストであると心得る。

その中で、キャリアというのはパーセンテージの掛け算なので、自分の強みを掛け算していく。たとえば金融に強いとして、さらに中国語も話せるとしたら、「金融」×「中国語」×「書き手としての能力」という掛け算をしていくと、その人の希少価値が上がります。

そうすると、自分だけが中国でささやかれている金融不安に関して、現地の人から話を聞いて、金融マンとコミュニケートすることができる。これは大きな付加価値になりますよね。

ジャーナリストの敵である学者やコンサルやアナリストに勝っていけるだけの付加価値があれば、講演や単行本の仕事も来たりして自分の収益源が多様化し、どんどん拡大できるでしょう。

学者、コンサル、アナリストと競争

佐々木:では、まずは学者やコンサルやアナリストと競り合っているという意識を持つこと。そこから変わりますね。

塩野:実際、どうですか。

佐々木:競り合っていると思います。たとえば、東洋経済で『会社四季報』を書いている記者は、アナリストと完全に競合しています。業績予想をするわけですし。

でも正直に言うと、コンサルやアナリストと比べると、ジャーナリストは分析力をこれまで意識されられなかっただけに、レベル的には負けています。特に日本の場合はそうです。即時性や事実を淡々と伝えることに、ずっと重点が置かれてきましたから。

そのため現状では、自分で分析するより、アナリストに取材に行ってアナリストに意見を聞いて、そのまま載せるというほうが多いですね。

塩野:ただ、それもひとつの力ですよね。「読売新聞でございます」という名刺で誰とでも会えるというのはパワーですよ。「東洋経済新報社でございます」で会えるパワーは大きい。

佐々木:確かにそうですね。

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