ゆとろぎ 片倉もとこ著

ゆとろぎ 片倉もとこ著

書名のゆとろぎという言葉はイスラーム研究で著名な著者の造語で、「ゆとり」+「くつろぎ」から「りくつ」を引いたものだそうである。利益至上主義とは対極にある、ゆったりと暮らすライフスタイルがイスラームの世界から説かれている。アラビア語のラーハがゆとろぎに該当するとのことだが、イスラームの世界では仕事の後のご褒美としてラーハがあるのではなく、日常生活そのもの、死さえもラーハなのだという。旅、学び、瞑想、知人他人を問わぬ親睦と交流、お茶と菓子で楽しむ会話、あらゆる場面で時間はゆったりと温かく流れていく。

競争や成果やコストからは一線を画した世界だが、日本でもかつてそうした精神は多少は存在していた。そして今、家庭、コミュニティ、社会が壊れていく中で、こんな生き方にも目を向けてみたい。ゆとろぎっぽい生活が送れれば当人以外にも恩恵が及ぶだろう。装丁から本文まで著者の思いが伝わってくる。 (純)

岩波書店 1680円

Amazonで見る
楽天で見る

関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
サウジで要人大量逮捕<br>背景に皇太子の危機感

日本の最大の原油輸入相手国、サウジアラビアで政変が起きた。現国王の息子であるムハンマド皇太子が主導し、王族や実業家などを含む200人以上の要人を逮捕。日本への影響は?