「技術さえあれば誰でもいい時代」は終わった

名古屋のスゴ腕ヘアメイク

私事だが、昨年の夏に結婚式を挙げた。新郎にもヘアメイクさんがつくと聞いて不安になった。バカ殿様みたいな顔にされたらどうしよう……。当日、式場のホテルに現れたのは西城秀樹を若くしたような精悍な男性。率直に不安を伝えると、「大丈夫ですよ。僕もドーランで白くする化粧は嫌いですから。むしろ少し色を濃くしましょう」と、自然な日焼け風メイクを手早く施し、丸く膨らみがちな僕の顔を引き締まった印象に変えてくれた。髪のセットも含めて、わが人生で最高の「イケメン」になった気がした。プロはすごいな。

名古屋にもすご腕のヘアメイクがいると知人から聞いた。若手も雇って、ブライダルヘアメイクとヘッドスパを手掛ける会社「Luce」を経営しているという。ヘアメイクの世界で成功するには、どんなキャリアやスキルが必要なのか。名古屋名物の派手婚はいまだにあるのだろうか。いろいろ聞いてみたい。

名古屋市内の事務所を訪れると、中島智子さん(42歳)が小走りで迎えてくれた。取材依頼のメールのやり取りで僕を女性ライターだと勘違いしていた、と笑う中島さん。丁寧な文面だったと伝えたいのだろう。リラックスした気分でインタビューできそうだ。一方で、お茶菓子を運んできた若手スタッフには、「ちゃんとお皿に入れて持ってきなさい」とすかさず指導。僕には笑顔で「しつけができてなくてすみません」と謝る。早くも経営者の一面が垣間見えた。

「40歳を過ぎてから健康の重要性に気づきました。今後、体の中からもキレイになれるトータルな美容を提案できないか、と企んでいます」

――ヘアメイクさんを志した経緯から教えてください。

学生時代、私はチャラチャラした「花の女子大生」でした。就職活動ははしにも棒にもかからずことごとく落とされ、卒業後の3年ほどは市役所で受付の仕事をしていました。9~17時で「建築課は5階です」と言っているだけです。つまらなかった。24歳までに結婚する夢はあっさりと破れ、「私は何をやればいいんだろう。手に職がある女性はカッコいいな」とぼんやりと思って、働きながら資格学校に通いました。女の子にありがちなコースでしょう(笑)。当時、ウエディングプランナーが日本でもはやり始めた頃だったので、「ウエディングプランナー養成講座」を受講しました。

受講してみて、ウエディングプランナーは綿密さが必要なので、大ざっぱな性格の私には無理だとわかり、補講で教わったブライダルヘアメイクのほうに引かれました。ちょっと触るだけで人がキレイになるのは楽しいな、と。講座の先生に「ヘアメイクになりたい」と伝えたら「お前はバカか。そんな甘いものじゃない」と言われましたが、どうしてもやりたいのでヘアメイク専門のスクールに移りました。

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