日産のイエローキャブ独占供給に「ノー」 ニューヨーク市の新型タクシーで”誤算”

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日産自動車が予定している米ニューヨーク市への新型タクシーの独占供給に横やりが入った。ニューヨーク州の最高裁判所は10月8日、ニューヨーク市がタクシー会社に対して日産の「NV200」を独占的に導入させる権限はない、との判決を下した。

ニューヨーク市では、市内の約1万3000台のタクシーについて、順次、新型のタクシーに置き換える計画を進めており、その新型タクシーとして日産がNV200をベースに開発したタクシーを選定、日産と独占供給契約を結んでいた。が、地元のタクシー団体が訴えを起こしていた。

日産の受注総額は10年間で10億ドルといわれる。日産は今月末から出荷を開始する予定で、すでに8月にはメキシコのクエルナバカ工場で生産を開始している。

商用車ビジネスに暗雲?

今回の裁判について、日産は直接かかわっておらず、「予定通り、今月末から販売を開始する」(同社)という。ただ、独占契約が無効で確定すれば、1万3000台という台数のうちの一部は、捕らぬタヌキの皮算用になってしまう。

もちろん、仮にゼロになったところで日産の屋台骨を揺るがすような話ではない。だが、商用車ビジネスをグローバルで拡大することを掲げる日産にとって、そのシンボルとも言えるニューヨークのタクシーで出ばなをくじかれた格好だ。

折しも、日産はニューヨークでのタクシー稼働開始に合わせ、日本でも9日から松屋銀座と連携して、NV200タクシーお披露目イベントを始めたばかり。悪いタイミングでの判決になってしまった。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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