(第28回)近世日本人数学者列伝~小平邦彦~(前編)

桜井進

●日本人最初のフィールズ賞受賞者

小平邦彦(1915-1997)
 1954年、アムステルダムで開かれた第12回 国際数学者会議(ICM、International Congressof Mathematicians)の席上、その日本人数学者は世界でもっとも権威ある数学の賞~フィールズ賞~のメダルを授与されました。彼こそ日本人初のフィールズ・メダリスト数学者、小平邦彦(39歳)でした。数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞の受賞条件はノーベル賞のそれとは異なります。1936年に始まるフィールズ賞は、4年に1度、40歳以下、4名までという厳しい条件を満たす者だけに与えられます。物理学者湯川秀樹がノーベル物理学賞を受賞したのが1949年でしたから、1954年はその5年後でした。戦後10年の間に、日本の学問は物理学と数学において、世界に認められるレベルに到達したことを意味しています。

●フィールズ賞について

John Charrles Fields(1863-1932)
フィールズ賞メダル
 ノーベル賞の父、アルフレッド・ノーベルについては一般に知られていますが、フィールズ賞の父、フィールズについてはほとんど知られていません。それは同時にフィールズ賞が知られていないことを意味しています。
 1863年カナダ生まれのフィールズは、若い時代フランス、ドイツといった数学先進国で留学を経験し、後にカナダ、トロント大学の数学教授として一生を終えた数学者でした。ヨーロッパ留学時代スウェーデンの数学者レファーと出会いました。彼こそ、ノーベル賞に数学賞が創設されなかった原因の張本人です。ノーベルと数学者レファーは仲が悪かったのです。ノーベルがまさにノーベル賞を創設する際に、数学賞をつくるとするならばスウェーデンの数学界の重鎮レファーに相談せざるを得なかったのです。ノーベルはまさにそれを嫌ったのでした。おかげでノーベル数学賞は幻となりました。

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