企業がいま「縁故採用」に本気になるべき理由 求人広告、人材紹介ではもう間に合わない

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現在、中途採用をするのは厳しい状態にあります(写真:chombosan / iStock)

前回、非正規社員の人手不足をテーマに記事を書きましたが、今回は中途採用の手段=経路をテーマにしてみたいと思います。

中途採用の動向は景気変動に敏感

会社における中途採用の動向は景気変動に敏感です。どこかの求人サイトのCMではないですが、中途採用=即戦力なので、急ぎの手段だからです。よって、景気が悪化すれば、直ちに減少。逆に回復~上昇すれば、たちまち回復します。

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対照的に新卒採用は景気変動に影響されにくい傾向があります。もともと時間をかけて育成する予定の人材という面もあるでしょう。

ところが、景気の悪化で、新卒採用が激減した時期があります。企業からすれば景気低迷が長期間続き、先行き不透明と悲観的になっていた時期。それが1990年代中盤~2000年初頭にかけて続いた金融危機です。

戦後最大の就職氷河期と呼ばれ、経験した人も多いでしょう。学校基本調査によれば大学生の就職率は1991年の81.3%をピークに低下を続け、2003年には55.1%と最低を記録。企業に入社する新入社員が激減する時期が続きました。なかには例年100名の新卒採用する会社がゼロ採用を5年続けたケースに遭遇したこともありました。

ただその後、日本の景気は運よく?回復しました。すると中途採用はどうなったか? 当然ながら機敏に回復しましたが(新卒採用を減らした影響で)中堅層が大幅に足りない事態になり「大沸騰状態」になりました。

当方が中途採用の仕事に関わっていた2000年代前半のことでした。企業は相当数の中途採用をするため「母集団」と呼ばれる採用予備軍の確保の“経路”を必死で探っていました。母集団とは選考対象になりえる人材の数のこと。当時、この母集団を確保する主力の手段=経路は求人広告による「募集」でしたが、それだけでは確保ができなかったのです。就職氷河期を経験した社員たちが求人広告ではあまり動かなかったのかもしれません。

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