総力分析!「VR・AR」は世界をどう変えるか? 野村総研が予測する「今からの5年間」

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5年程度先までのITの将来動向は?(写真:alvarez / iStock)
5G(第5世代移動通信システム)は、2017年末に標準仕様が策定されたことで、今後、商用化に向けた動きが加速していく。VR(仮想現実)、AR(拡張現実)は5Gの有望なアプリケーションの1つであり、特に2020年は東京オリンピック・パラリンピックで臨場感あふれるスポーツ観戦が可能になると予想される。
特定の重要技術や複合的な新サービスそれぞれについて、5年先までの進化を予想する『ITロードマップ 2018年版 情報通信技術は5年後こう変わる!』を上梓した気鋭のITアナリストが、5Gで広がるVR・ARのサービス進化とそれらがもたらす近未来の世界を展望する。

さまざまな用途に活用され始めたVR

自動車や不動産などの高額商品の販売現場で、VRの活用が進んでいる。

『ITロードマップ 2018年版』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

VRを利用すれば、見込み客の求めるカラーやオプションを、限りなく実車に近いCGで体験してもらえる。不動産業界でも、“バーチャル内覧”がすでに行われており、家具やインテリアの配置変更、マンションの高層階と中・低層階の眺望の違い、朝・晩での日照の変化など、条件を変更した場合の状況を疑似体験できる。

このような疑似体験はさまざまな業務に応用できる。

企業の採用活動では、就職後の「こんなはずではなかった」という後悔を避けたい就活生と、「会社のリアルな様子を見てほしい」という採用担当者のニーズを満たすツールとして、採用にVRの活用を検討するケースが出てきている。

たとえば、楽天は「VRによるオフィスツアー」を実施している。360度動画を用いて、オフィス設計に対する同社独自のこだわりや、社員が働いている姿を就活生にリアルに見せて、実際に自分が働いているイメージを描いてもらおうという狙いがある。

また、セコムはVRを活用した研修プログラムの導入を2017年11月に発表している。具体的には、「煙が充満する中での避難誘導」「避難器具の体験シミュレーション」といった「危険が含まれ、座学よりも体験に価値がある」訓練プログラムが用意され、社員はVRヘッドセットを装着し、ディスプレイに表示される全周囲の映像を見ながら、その状況における的確な対応を疑似的に体験し、学習する。

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