日経平均3日続伸、森友問題は収束するか 米国のインフレ懸念が緩和、NT倍率は上昇

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 3月12日、東京株式市場で日経平均は、3日続伸した。前週末に発表された米雇用統計でインフレ懸念が緩和して米国株が大幅高となった流れを受け、序盤から幅広く買いが優勢となった。上げ幅は一時500円を超え、2万2000円に接近した。写真は都内の株価ボード。2016年11月撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)

[東京 12日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は、3日続伸した。前週末に発表された米雇用統計でインフレ懸念が緩和して米国株が大幅高となった流れを受け、序盤から幅広く買いが優勢となった。上げ幅は一時500円を超え、2万2000円に接近した。ただ、森友学園の問題を巡る報道が伝わって為替がドル安・円高に振れると、日本株も上値を抑えられる場面もあった。

TOPIXは前週末比1.51%高で取引を終了。東証1部の売買代金は2兆3973億円と薄商いだった。東証33業種全てが上昇。値上がり率トップは機械で、ゴム製品がこれに続いた。鉱業や海運、石油・石炭製品などもしっかりだった。

米2月雇用統計は非農業部門の就業者数が1年7カ月ぶりの大幅な増加となった一方で、賃金の伸びは勢いが減速。市場では、米利上げペースが速まるとの懸念が和らいで、東京市場でも朝方には買いが優勢となった。

もっとも、国内では学校法人「森友学園」への国有地取引を巡り、財務省が決裁文書の書き換えを認める方針だと判明。ドル/円が円高方向に振れると、日経平均も上げ幅を削った。

午後には麻生太郎財務相の会見内容が伝わった。行政文書の書き換えについて誠に遺憾としたうえで、自身の進退については考えていない、とした。これを受けて、為替はドル高・円安方向に戻し、日本株も大引けにかけて買いが入った。

森友問題について、市場では「現時点で今後の展開は見通しにくい。ただ、日本経済への影響が大きいとは思われず、過度な懸念は不要だろう。政局不安につながるようなら外国人投資家が嫌気してもおかしくないが、それでもごく短時間の動きにとどまるのではないか」(証券ジャパンの調査情報部長、大谷正之氏)との声が出ていた。

ファナック<6954.T>、東京エレクトロン<8035.T>、ファーストリテイリング<9983.T>など値がさ株がしっかり推移し、日経平均の上昇に寄与した。日経平均をTOPIXで割ったNT倍率<.NTIDX>は一時12.59まで上昇。取引時間中としては2月6日以来の高水準を付けた。

一方、4月限の日経225オプションでは権利行使価格2万円、1万9000円のプット・オプション(売る権利)のプレミアムが下げ幅を縮小する場面があった。足元で出来高はSQ(特別清算指数)算出日の9日と比較しても急増した。2万円プットの出来高は、森友学園に関連した複数の報道があった後場から膨らんだとみられている。

東証1部の騰落数は、値上がり1712銘柄に対し、値下がりが309銘柄、変わらずが48銘柄だった。

日経平均<.N225>

終値     21824.03 +354.83

寄り付き   21826.10

安値/高値  21689.97─21971.16

 

TOPIX<.TOPX>

終値       1741.3 +25.82

寄り付き     1740.67

安値/高値    1733.06─1746.39

 

東証出来高(万株) 125360

東証売買代金(億円) 23973.23

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