北朝鮮が核ミサイル放棄?それはありえない 交渉では細部にこそ悪魔が潜んでいる

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北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長は、たとえ天地がひっくり返っても核を放棄することはないだろう。写真は2017年9月3日、核開発について説明を受ける金委員長(写真:KCNA via REUTERS/File Photo)

北朝鮮情勢が風雲急を告げている。3月6日に4月末の南北首脳会談開催が明らかになったのに続き、8日(米国時間)には北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長とドナルド・トランプ米大統領による史上初の米朝首脳会談が5月までに開かれるとのニュースに世界が衝撃を受けた。

「核のボタンが常に机の上に置かれている」「私の核ボタンはもっと大きくパワフルで、実際に作動する」――。今年1月初めまで「売り言葉」に「買い言葉」で、核兵器の使用さえもちらつかせてチキンレースを繰り広げていた2人が、急に振り上げた拳を下ろし始めた。しかし、米朝協議の目的となる北朝鮮の非核化はなるのか。

核ミサイルを放棄することはない

結論から言えば、金正恩委員長は、たとえ天地がひっくり返っても、核ミサイルを放棄しないと筆者はみている。

金委員長の過去の数々の言動を踏まえると、北朝鮮が非核化するとは容易に考えられない。非核化の意思を示したのは、単なるリップサービスやジェスチャーに過ぎないのではないか。

本当の狙いはアメリカとの関係改善だろう。特にアメリカと対等な立場で首脳会談に臨むことで、アメリカに核保有国として自らの体制を事実上、認めさせること。自らの核ミサイルの完全放棄ではなく、核ミサイル開発の凍結(=核ミサイル保有の制限)に米朝協議の落しどころを持っていきたい意向だとみている。北朝鮮が繰り返し求めてきた朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換する交渉は、まだまだ先の話だ。

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