米国株式市場は上昇、貿易戦争懸念和らぐ 関税適用除外国を設定、鉄鋼・アルミ株下落

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 3月8日、米国株式市場は主要3指数がいずれも上昇して終了。NYSEで撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

[ニューヨーク 8日 ロイター] - 米国株式市場は主要3指数がいずれも上昇して終了。トランプ米大統領は8日、鉄鋼・アルミニウムの輸入制限の発動を正式に発表し、メキシコとカナダを対象外とした。

大統領が先週1日に輸入制限を提案した時点よりも、規制内容が緩和されたとみられることから、市場の重しとなっていた貿易戦争への懸念が和らいだ。

トランプ大統領は8日の会見で、鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%と10%の関税を課す輸入制限を実施することを正式に発表。カナダとメキシコを対象外とすることにも言及した。政府高官によると、両国以外の国も適用除外を申請することは可能だが、除外をいつ認めるかなどについては明らかではない。

米政権の発表に関するニュースが伝わる前の米株市場は、発表内容を巡る不透明感から神経質な展開となり、S&P総合500種<.SPX>は前日終値を挟んだ狭いレンジ内を行き来していた。だが取引終盤に、輸入制限に例外が設けられ、一律には適用されないことが伝わると、主要株価指数は上昇した。

ホライゾン・インベストメント・サービシズのチャック・カールソン最高経営責任者(CEO)は「前週の一連の発言ほど厳しい内容にはならなかった。依然として状況は流動的とも言える。前週は(輸入制限が)無条件に例外なく発動され、全員が打撃を受けるような印象があったので、反応は青天のへきれきといった様相だったが、懸念は和らいだ」と分析した。

一方、ニュースを受けて、鉄鋼・アルミ株は下落。

関税導入に伴う金属価格上昇で恩恵を受けるとみられていたセンチュリー・アルミニウム<CENX.O>は7.5%安。USスチール<X.N>、AKスチール<AKS.N>も大きく下げた。

米医療保険大手シグナ<CI.N>が買収を発表した米薬剤給付管理(PBM)大手エクスプレス・スクリプツ・ホールディング<ESRX.O>は8.6%高。

S&P主要11セクターでは、エネルギー株<.SPNY>のみ下落。原油先物の下落が背景。

ニューヨーク証券取引所では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.38対1の比率で上回った。ナスダックでも1.15対1で値上がり銘柄数が多かった。

S&P総合500種構成銘柄では、26銘柄が52週高値を更新し、1銘柄が安値を更新。ナスダック総合構成銘柄では157銘柄が新高値を付け、22銘柄が新安値を付けた。

米取引所の合算出来高は63億8000万株。直近20営業日の平均は76億5000万株。

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