定年後、最高の人生を送るための4Kとは何か 「40代」「50代」の人は今からすぐに始めたい

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現役世代にはピンと来ないかもしれないが、定年を迎えてなお生きがいや仲間に恵まれた人生を送るというのは、実は意外に難しい。同じ仕事内容なのに収入が下がる再雇用や再就職などではやりがいを感じにくく、同僚や元部下など、人間関係も大変になる。「なんとなく」で再雇用や再就職を選ぶと、幸せな老後とはほど遠い生活を送ることになってしまうのだ。

「老後難民になる人」「ならない人」の差は何か

だが、何も同じ会社にいる必要はない。「4Kの要素を満たすのに有効なのが、独立起業です。もちろん一定の度合いで成功することが条件ですが、起業すれば、定年を過ぎても収入があるので、貯金を取り崩す不安な生活から解放されます。また、独立起業すれば仕事の内容はもちろん、就業時間、協力先のパートナーなど、いろいろなことが自分で決められますので、ストレスが大きく減ります。おのずと心身ともに健康になっていきます。再雇用や再就職を選ぶより、圧倒的に効率がいいのです」(高伊氏)。

もちろん、何の準備もしていなかった人が突然独立起業できるほど、社会は甘くない。シニア起業を果たして老後を生き生きと過ごす人と、孤独で不安な毎日を過ごす人。両者を分けるのは、「それまでのちょっとした考え方や習慣の違い」なのだという。

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高伊氏が分析する。「さみしい老後を過ごすことになる人は『80歳くらいになればお迎えが来るだろう』などと考え、定年後のライフプランニングを軽視している傾向にあります。90から100歳まで生きるという前提のもとで、現実的なライフプランを立てることが大切です。そのためには、早いうちから家計収支を把握したり、保有資産を整理しておくことも必要です。『おカネの管理はパートナーに任せきり』というのではいけません。

シニア起業で成功するためには、何よりも人脈が重要です。自分の力を買ってくれて、周りに紹介してくれる人がたくさんいれば、ガツガツと営業をしなくても、徐々に仕事がくるようになります」。

「特に有効なのが、社外の人脈です。40~50代のうちから勉強会などに参加して、会社を辞めても役に立つ人脈をつくっておきましょう。ただ名刺を交換するだけではダメ。勉強会の運営に事務局として参加するなど、汗をかいて深くコミットすると、より効果的です」(同)

盲点になりがちなのが、投資の知識だ。高伊氏によると、「投資経験を積んでいなかったために、退職金などまとまったおカネが入ったときに怪しい投資話に引っかかる人が後を絶たない」という。若いうちから少しずつ、投資の感覚を身に付けておくことが大切だ。

もちろん、勉強が必要なのは、投資に限ったことではない。年金はいつから、どのくらいもらえるのか。保険にはどんな種類があり、それぞれどんな違いがあるのか。これらを、今からでもいいので、よく研究してライフプランに組み入れてみるといい。こうした学びの中で、自分に必要な貯蓄額や保障の内容が自然とわかり、漠然とした老後の不安から解放される。

定年が楽園になる人と地獄になる人――。読者の皆さんは今のところ、どちらの考え方に近いだろうか。もし後者に当てはまっていたとしても、今気づけば大丈夫。幸せな老後に向けて、コツコツと準備を始めよう。

大住 奈保子 編集者・ライター

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おおすみ なほこ / Nahoko Osumi

1984年、京都府生まれ。大阪市立大学文学部哲学歴史学科卒業。出版社勤務を経て2015年にフリーの編集者・ライターとして独立、2017年に株式会社Tokyo Editを設立。現在代表。マネーや経済、ビジネスなどのテーマを中心に、企業の集客に役立つコンテンツを制作する。『ど素人サラリーマンから月10万円を稼ぐ! 株の授業』(冨田晃右・ぱる出版)をはじめ、投資関連書籍の取材・制作協力実績も多数。

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