YouTube幹部が明かす「YouTuberの成功条件」 成功の条件を箇条書きにして突きつめてみた
「見た人が、他の人にシェアして話したくなるような内容をアップする」のような感覚は、格闘ゲーム用語のヨミ(読み)に通じるという。日本語由来となるヨミの意味とは、「敵の心を知る」ということ。見る人は、自分は何をシェアしたいか気づいてない。そこを先制して、突くのが肝心なのだ。
「あなたがシェアしたいものは、これですよね」と、差し出してあげる。案の定、シェアされる。その友人がまたシェアをする。シェア、シェア、シェア、と続き、ドカンと大ブレイクするのだ。ネット用語ではバイラル(ウイルス性の)と呼ばれるが、さながら猛威をふるって広がるインフルエンザのようなビデオをつくる必要があるのだ。
かつてアダンドがハードロック・ホテルで働いていたとき、その場所柄と仕事柄もあって、大物有名人をたびたび目撃したという。気軽にサインをしたり写真撮影に応じるスターがいる一方で、駆けつけた子たちの顔を見ようともしない「ファンは嫌い」というスターもいた。「ふざけてるのか? あんたがスターとして今ここにいられるのは、その子たちがいてくれるからだろう?」と憤慨したアダンドは、そのとき心に誓ったという。「自分がいつかそんな立場になったら、あんたみたいな態度は取らないからな」と。
実際、有名になったアダンドは、「ファンは自分のボスである」と胸に刻み、すべてのメール、ダイレクトメッセージ、コメントに返信し続けている。そしてこれは、自分のファンコミュニティの運営にもかかわる、とても重要なことなのだ。
“見えないクールさ”をキープする
“見えないクールさ”とは、意外性のある新しい内容のこと。これがなくなると、自己模倣に陥って飽きられてしまい、たとえビッグなユーチューバーでも人気がずるずる下がる。その怖れから、ユーチューバーは視聴者の一歩先をゆく内容を、まるで止まらぬランニングマシンを走るように公開しつづけなくてはならない。そんな苦労を、アメリカのあるトップユーチューバーもこう告白する。
「ユーチューバーは本当に自分だけが頼りだ。台本執筆も、撮影も編集も配信も、自分ひとりでしている。週に何時間働くか聞かれたら、『僕が週に何時間起きてるかって?』と聞き返すだろう」
「世の中にコンテンツは山のようにあるし、才能あるクリエイターも山ほどいる。2週間も休みを取ろうとすれば、ファンをごっそりと持っていかれる」
そういえば、日本のトップユーチューバー・ヒカキンも、毎日更新を欠かさず、ネタ探しから撮影に編集にと、睡眠時間を削って励んでいる。彼らユーチューバーの成功は、労せずに得たものだ、という評論は間違っている。
“YouTube先進国アメリカ”において、ユーチューバーたちはメディア業界の仕組みを変え、音楽、出版、広告、政治、ビジネス、ジャーナリズムといったジャンルで活躍している。だがその裏には、地道でコツコツとした壮絶な努力が隠されているのだ。
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