身長100cmで「2児の母」となった女性の人生観 早稲田大学で学び、2度の留学にも挑んだ

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結局、2人とも障害は遺伝していなかったのだが、夏子さんは障害児を育てるつもりだったと聞いてビックリした。出生前診断であきらめてしまう夫婦もいるのになぜか。理由を聞くと、意外な答えが返ってきた。

だってね、それなりに育てていけばいいわけだから。私自身、障害があるから大変とか、障害がなければよかったって、本当に思ったことがないんです。誰にでも、やりたいけどできないことってあるわけで、私は歩けないけど、そのかわり、泳ぐのはすごく好きだし」

だが、幼少期には1年に3回は骨折。病院のベッドで長い時間を過ごしていた。それでも大変ではなかったのか。

「もちろん、骨折すると痛いし、すごく嫌ですよ。でも、これくらいなら全治3週間とか自分でわかるんで(笑)。よく入院もしたけど、ビデオとかもいっぱい借りてくれたし、何かしら楽しみを見つけていましたから」

どこまでも前向きな言葉をあっけらかんと口にする。

強行突破で米国、デンマークに単身留学

出産は順調だったが、本当に大変だったのは生まれてからだ。料理、洗濯、掃除、子どもの世話など、日々の生活を支えてくれているのはヘルパーたちだ。実は、夏子さんがヘルパーを利用し始めたのにはキッカケがあった。

話は大学時代にさかのぼる。夏子さんは在学中にアメリカ西海岸のサクラメント大学に1年間交換留学、デンマークに3カ月留学している。親には絶対反対されると思い、試験に受かってから事後報告して強行突破してしまった。

22歳。デンマークに3が月留学。何より人を大切にして助け合うデンマークの人々に感動。帰国後はヘルパーに頼ってもいいと思えた(写真:週刊女性PRIME)

それにしても車イスの女性が外国に渡りひとりで暮らすのはどれだけ大変なのか。想像もできない。夏子さんのバイタリティーには、驚かされてばかりだ。

「アメリカは世界でいちばんハード面が整ってると思います。バスもタクシーも車イスで乗るのに困らないし、日本より生活しやすかったですよ。むしろ人種差別のほうが激しくて、競争社会だし、なんか合わないなと感じました」

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