日本発のファストファッションGUの野望 ジーユー・柚木治社長に上海で直撃

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――昨年は2013年8月期に売上げ800億円、14年8月期で1000億円という目標を掲げていました。

そこに行く自信はある。既存店も前期(13年8月期)は2ケタ増で利益も拡大した。今期も出だしは悪くない。

――ここまで急成長を続けられる理由は。

単純にいうと、日本人が考えるファストファッションのニーズはすごくあるのに、ジーユー以外はそれに応えていなかった。なぜか日本では、ファストファッションがH&MやFOREVER21などの海外ブランドの”専売特許”のようになっている。

だが、日本人にはモノのバランスをとったり、組み合わせたり、細部にこだわるという強みがある。それを生かした商品を構成するのがジーユーの目指すところだ。実は、ジーユーは他のファストファッションよりも品番数が少なく、この上海の店舗でも500~600品番ぐらい。H&MやZARAはうちよりもケタが1つ多い。

少ない品番数の中でベストヒットアイテムを選び、バランスと組み合わせを考え抜いている。トレンドは”ドンズバ”だが、デザインはしすぎず、ちょうどいい感じに仕立て上げる。そして品質をよくすることにも徹底的にこだわる。結果的にジーユーにしかない着やすいファッションになり、ゆるぱん、マキシワンピースなどのヒット商品が生まれた。

柳井社長ともくろむ、世界進出の勝ちパターン

――今後は柳井正氏(ファーストリテイリング会長兼社長)が掲げるジーユー単独での売上高1兆円が目標でしょうか?

柳井社長もジーユーの海外展開に積極的

1兆円いきたいですね。今後は出店と商品力を上げていく。国内はまだまだ出店余地はある。最終的に現在800店以上あるユニクロと同じ数を出せる可能性があると思っている(ジーユーの国内店舗は9月末222店)。

この秋冬商品からはよりファッションのイメージを強める戦略に出ている。前田敦子さんや、きゃりーぱみゅぱみゅさんをCMに起用したおかげで日本での知名度は十分高くなり、ジーユーは次のステージに来た。今後はよりファッション性やブランドイメージを重視した商品や広告宣伝を打ち出していく。

――普段、柳井氏とはジーユーについてどんな話を?
 柳井とはよく話す。「やっぱり、ジーユーもどんどん海外で勝負だ。ただ、今のレベルで海外でも成功できると思ったら甘い」と言われる。上海出店から猛スピードであらゆることをよくしていく必要ある。いずれ、ユニクロとジーユーの大型店を世界の主要都市全部に出し、それを勝ちパターンにしようという話をしている。

次ページ「ユニクロ」と「ジーユー」の食い合いはない?
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