Apple Watchが冬のリゾートで活躍するワケ 初めてのゲレンデでも自分の居場所を表示

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Slopes、Snoww、Zonesは、こうしたスキーワークアウトのAPIを活用している。

例えばSlopesを試してみると、リフトの時間、滑走コースの3Dモデル、最高速度、消費カロリーなど、今まで自分でも数字で知ることがなかったデータを手に入れることができる。具体的には、最高速度は54.3km/hで、最高高度は2668m、最長のゲレンデの距離は5.2kmで742m下山し、65キロカロリー消費したことが分かった。

グローブを脱がずに扱うことができる

その間に撮影した写真も自動的に表示され、スキー体験を「ただ楽しかった」だけではなく、より克明に記録に残すことができる。ちょうど、平昌オリンピックのスキー滑走をテレビでデータとともに観戦していた時期なだけに、手首に付けた小さなデバイスで自分のデータが手に入ることは驚きであり、楽しい体験だった。

ゲレンデでスマートフォンを扱うのは大変だ(筆者撮影)

スマートフォンで十分ではないか、という意見もあるかもしれない。たしかに今のスマートフォンは防水対応が当たり前になり、ゲレンデに持って行くにはぴったりのデバイスである。筆者が訪れたゲレンデもケータイの電波が届くエリアで、一緒に訪れた友人とのコミュニケーションも取れるし、写真も撮影できる。

自分の行動を正確にトラッキングできる(写真:iPhone画面をキャプチャ)

しかし、スマートフォンを扱うには、特殊なものでない限り、いちいち防寒用のグローブを取り外さなければならない。マイナス10℃以下と気温が極めて低いゲレンデ上では3分もスマートフォンに触っていれば手が真っ赤になってしまうし、凍える指先はいくら気をつけてもミスタイプを連発する。タッチパネルに反応する特殊な手袋をしていた場合にも、ミスタイプは免れない。

一方Apple Watchは手首のグローブをめくるだけで、すぐに情報を見られ、音声でメッセージへの返事ができる。そこに加えて、初めてのゲレンデでも、自分がどのリフトにいて、どのコースにいるのか表示してくれるアプリがあり、その便利さに驚かされた。

筆者がそんなスキー体験をしたのはレイクタホだ。サンフラフランシスコから北に4時間ほどクルマを走らせたところにある巨大な湖には、周囲を取り囲むようにして15のスノーリゾートがある。1960年にオリンピックが開催されたスコーバレーは中でも著名だ。そんなスコーバレーの独自のアプリ「Squaw Valley | Alpine Meadows」も、前述のApple Watchを用いたスノースポーツのAPIを活用している1つだ。

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