「絶対不幸にならない人」の心は何が違うのか アパホテル、元谷芙美子社長のポジティブさ

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私からすれば、こんなの大チャンスですよ。人によっては、知らない人からあれこれ容姿を叩かれたりしたら心が折れてしまうかもしれません。でも、私は最初から「素敵な社長さんだ」なんて称賛してもらえるとは思っていなかった。

広告塔なんだから、見てもらって話題になったら大成功。クレームだって反響の一つです。むしろ何も言われないのが一番ダメでしょう? そう腹をくくっていました。だからね、私、自分が美人じゃなくて良かったって思ってるの。だって、きっと私が美人社長だったら、誰もこんなに覚えてはくれなかったでしょうから(笑)

覚えておいてください。ヨットは無風じゃ動かない。逆風でもいいから風が吹けば、ジグザグしながらも前に進める。人生は、アゲインストの風が吹いてもいいの。追い風でも逆風でもいいから、上手く操舵していけばいいんです。

大丈夫。大丈夫。あなたは絶対に大丈夫よ!!

私の人生最大のアゲインストと言えば、2007年1月に起きた耐震強度不足のニュースを思い出す人も多いと思います。アパグループが所有する京都市内の2棟のホテルが耐震強度の基準値を満たしていない、ということでメディアでも騒ぎになりました。

しかも当初は偽装と報じられ、お客さまからの信頼も揺らぐ事態に。だけど、私たちは決して悪いことは何もしていないということだけは神に誓って言えました。だからこそ、ご予約くださったお客さまにお詫びの会見を開き、問題を指摘された建築士が携わったホテルは全てすみやかに休業し、検証に入ったのです。

(写真:Woman type)

けれど、世間の動揺は大きく、銀行からは借入金を返済してほしいと言われました。その額は、ざっと300億円。こうお話しすると、絶体絶命の大ピンチと思われるかもしれませんね。

でも、これもその逆です。翌年、リーマンショックが起こり、不動産の価値が大暴落。借入金を返済するために、所有していた土地をちょうど全部売り払ったところだったので、私たちはその損害を免れたどころか、分譲するマンションのプロジェクト資金まですべて返し終えたので、後からマンションの販売代金が入ってきて、手元に潤沢な資金が残りました。

土地が値下がりした今こそ仕入れのチャンス。そこで、皇居を取り巻く都心3区をはじめ東京都心部で土地を70カ所ほど購入し、次々とホテルを建設していきました。結果的に、あの07年の大ピンチが、今のアパグループの大躍進をもたらしたのです。

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