凶暴化する「ひったくり事件」の恐ろしい実態 犯罪者が嫌がる「攻めの防犯」が必要だ
「キキーッて車がすごいスピードで走っていく音がして、女性が“あー”と叫び声をあげたと思ったらドンと何かがぶつかる音がしたんです」
ひったくり現場近くの建設会社に勤務する女性(29)は、ビルの内部にまで届いた生々しい異常音をそう振り返る。
ひったくりの暴力性が増している
2月1日の昼ごろ、東京・葛飾区の路上で、現金1000円が入った手提げバッグをひったくられた68歳の女性が、犯人が運転する軽トラックに30メートルほど引きずられる事件があった。
「外に出ると女性が倒れていて、“バッグを取られた”と動揺していました。郵便局に行く途中だったようで、女性の手のひらは擦り傷で真っ赤。頭も打ったようでした。軽トラックは電柱にこすったみたいですよ」(前出・女性)
別のひったくり事件で逮捕された40代の男が、関与を供述しているとする一部報道がある。女性は全治3日の軽傷ですんだが、一歩間違えば……。
犯罪心理学者で東京・足立区の防犯専門アドバイザーを務める東京未来大学子ども心理学部長の出口保行教授は、
「以前のひったくりは自転車の前カゴから盗っていくものが主でしたが、最近は暴力性が増し、手口が荒っぽくなってきている。強盗致傷ですよ」
横浜・青葉区では昨年9月、自転車で帰宅中の男性(61)が、肩にかけていたショルダーバッグをオートバイの男にひったくられそうになったはずみで転倒し、右足の骨を折るなどの重傷を負った。