真剣議論!社員は会社の飼い犬であるべきか 個人と組織の「完成しない」未来の関係

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面倒だけど『組織⇔個人』を議論する過程が大切

「本当はほじくった方がいいのに、ほじくらないでほったらかしてしまいがちな問題って、社会にはたくさん転がっていますよね。働き方改革についても、簡単に答えが見つからないとあって、ほじくる機会は乏しいと思います。しかし、働き方改革を進めるにあたって、『組織と個人の関係』は、さまざまな経緯と理由に基づいて構築されているということに目を向ける必要がある。だからこそ焦らずに、戸惑いながらも立ち止まり、議論を重ねて考えを深めることが必要。そのプロセスを楽しむ過程で、新たな見方を手に入れてもらいたい」

曖昧かつ難しい問いに対して、白熱した議論が交わされたワークショップ。その手応えについて、「戸惑いながら新たな見方を手に入れられたのでは」と振り返る。

また、第4回のコンセプト「あなたが主人公のACTIONを応援する」についても伺ってみた。

「本来、個人が組織の中で主役の座を掴むというのは、ある種の権利主張であり、個人VS企業の戦いなんです。それを踏まえて(個人発・雇用主発を問わず)、個人の主役感を尊重する取り組みは、未来的な働き方のヒントになり得ると思います。これまで消費型の時代が長かったことから、たくさん仕事をしてたくさん給与を手にすることが、豊かさの指標でした。しかしこれからは消費をベースにしながらも、『創造体験』が満足度を左右する時代です。組織が責任を負える範囲で、個人が創造的なチャレンジができる土壌を耕し、『主人公になれる可能性』を模索していくことが、新しい個人と組織の関係を形づくっていくのだろうと思います。そのヒントになるACTIONにスポットを当てたこの表彰は、意義があるのではないでしょうか」

では、個人が主人公になるために企業が応援していくには、どのような心構えが望ましいのか。若新氏はこう述べる。

「現代の人の多くは、期待されることよりも、信頼されることによって目標に応えようとするように変わってきたと思います。それは、期待では得られない”安心”を受け取っているからであり、企業の雇用関係でも同じことがいえます。期待は緊張関係を生み出してしまうので『ただ信頼する』、それが主人公であることを模索するうえで必要な企業サイドの応援スタンスではないでしょうか」

そして、このような個人と企業のGOOD ACTIONを積み重ねていくことで、ひいては”良い社会につながる”と若新氏は言う。

「個人や企業の活動が”いいものである”と、その連鎖が結果的に”良い社会”に導くのではないでしょうか。つまりは、選択や挑戦に対する個人の納得感の総量が大切だということ。国や企業がより良い社会を提案するのではなく、これからは個人の充実の連鎖を考えないといけないのかもしれないですね」

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