ゆとり教育+モンスターペアレントの弊害 「子供をしかる能力」とは、放任と干渉のさじ加減

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しかも上の姉たちが、放っておいても勝手に勉強して第1志望校に入ったので、私もガリガリ勉強しなくとも大丈夫だとの、根拠のない自信が両親にはあって、受験直前の家族海外旅行や、大事な試験の前日でも、何時間もかかる法事の出席や家族・親戚の集いなどは、絶対に義務づけられた。

私の父親の家庭教育の力点は、先祖を大切に祀ったり、同居していた祖母や両親を敬う、姉弟は仲良く、といった儒教教育や、人間としての情・道徳を大切にする教えにあった。このようなことに反すると(ちなみに往々にして父のほうが反していたのだが)、夜中であろうが、試験の追い込み中であろうが、勉強する資格がないといって、それ以前の心得を累々と説教されるのであった。

干渉に関して言えば、母がそれはそれは私を強制的に勉強させた。放っておいても勉強する子には放任がいいだろうが、放っておいたらそのまま怠ける子供を放任したら、それはそれで無責任な親だと思う。この点、母親に重ね重ね感謝している。

<パンプキンからのコメント>

子供の機嫌をとる親が増えている

その昔、小学校の保護者懇談会である母親が、「私の子(10歳)は私よりしっかりしているのでしかったことはなく、これからもしかるなんてできません、とんでもないです」と得意気に言われたことがありました。それはないだろうと、聞いている私が恥ずかしくなった思い出があります。

そしてある友人は、思春期の息子と娘に、「注意や小言はいっさい、言わない」と言うのです。「夫は子供たちに嫌われるのが嫌で、注意してくれるように頼んでも、いっさい注意をしてくれない。自分が注意すると子供はプツッと膨れて、気まずい日常が続く。それが嫌だから、自分で気づくまで黙っている」と言います。

私が、「子供が社会に出て困らないように、親だからこそ欠点を指摘したり、注意をしなければならないのでは?」と言いますと、「親子間でも、思ったことを何でも言っていいわけではない。言ってしまえば終わりということもあるのよ」と、この件に関してだけは、話の焦点が合いませんでした。

2人の例を挙げましたが、似たような考えの人は少なくありませんでした。

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