羽生結弦・宇野昌磨を支えた「兄貴」の存在感 競技ではライバルでも、日頃は仲良し

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「“絶対王者”と呼ばれるように、羽生くんには近寄りがたい雰囲気があります。でも、ふだんは意外とおしゃべりするタイプ。逆に田中くんは寡黙で、だいたい羽生くんの話を聞いて“うんうん”“へー”などと、聞き役に徹していることが多いんです。

羽生くんは頭の回転が速いからなのか、会話のテンポも速い。昔から付き合いがあって、自分のペースで矢継ぎ早に話してもビックリしない田中くんとのおしゃべりは、気が楽なのではないでしょうか」(前出・スポーツライター)

タイプが違うからこそ、お互いに居心地がいいのだろう。

羽生の隣にはいつも…

「羽生選手は団体戦に出ませんでしたから、現地入りはほかの選手よりも遅れました。公式練習がケガ明けの彼のスケーティングを確認する初の機会で、報道陣もライバル陣営も大注目。緊張感のなかで、羽生選手の隣にいつも陣取っていたのが、田中選手でした」(前出・スポーツ紙記者)

平昌では必勝アイテムを持ち込めず、羽生は不安な思いだったかもしれない。

「いつも手にしていたプーさんのティッシュケースが商業目的のものとされて、NGだったんです。今回は泣く泣くショートケーキのケースにしていましたね。彼がプーさんのティッシュボックスを使っているのは、見ていると安心できるから。心細さを和らげてくれたのが、隣にいた田中さんの見慣れた顔だったんじゃないでしょうか」(前出・スケート連盟関係者)

世話好きで面倒見のいい田中がいたからこそ、羽生も宇野も自分の力を最大限に発揮することができたのだ。

「羽生さんも宇野さんも、もちろん実力は十分にある選手。2人が特別バチバチ火花を散らすような間柄というわけではなく、どんな選手にでもあることですが、本番前はやはりピリピリした空気感になるんです。そんななかで田中さんがいるからこそ、お互いにリラックスできたこともあったと思います」(同・スケート連盟関係者)

もちろん田中も、気心の知れた2人と一緒だからこそ、今できるベストを尽くせたはず。今回の彼らの大活躍で、次世代の男子選手も、希望を持ったに違いない。

「昔は10人に1人ぐらいの割合でしたが、今は5人に1人が男の子。少し前から高橋大輔さんや小塚崇彦さんの影響もあって徐々に増えていましたが、宇野くんの影響は大きいですね」(堤さん)

田中に可愛がってもらったように、宇野も後輩を可愛がる日が来るかもしれない。

今回の輝かしい成果を“弟分”たちはその背中から感じ取るのだろう──。

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