大量発生中!墜ちたベテラン弁護士 弁護士の懲戒処分件数、過去最高更新へ

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このH弁護士は、登録番号からすると、50期代前半で、2000年前後に弁護士登録をしているはずで、調べたところ、最初の懲戒から7年間で、5回「戒告」処分を受けている。理由は「業務怠慢」や「事件放置」「必要書類紛失」のほか、「相手方弁護士への根拠なき懲戒請求」というものも含まれている。そして5回目に至っては「児童虐待のでっち上げ」である。

6回目から8回目までも、いずれも理由は「業務怠慢」や「事件放置」なのだが、6回目からは懲戒回数が理由になって業務停止に処分が格上げされるようになったようだ。逆に言えば、6回目になってようやく反復性に対する制裁も加わるようになったわけで、これでも「退会命令」や「除名処分」にはなっていない。

ベテランの不良化は東京から地方に拡大

ただ、懲戒処分の実例をつぶさに見ていくと、目立つのは1980年代前半までに弁護士登録をしている、2万番台未満のロートルたちだ。H弁護士の年齢は不明だが、H弁護士と同世代の50期前後の懲戒者はごく少数でしかない。

さらに、「質が落ちて弁護士全体の信用を毀損する」と言ってやり玉に挙げられている、新司法試験世代の懲戒は過去5年間でわずか2件。

A弁護士は登録番号4ケタで司法修習期から推察するに、確実に75歳は超えているし、D弁護士は60代半ばは超えているだろう。G弁護士はおそらく50代だと考えられる。

少々気になるのは、地方の弁護士の懲戒が増加傾向にあるという点だ。東京3会所属弁護士の年間懲戒件数は2009年以降、ほぼ毎年横ばい状態である一方、地方の伸びが大きい。

一般に大都市圏のほうが仕事は多いが、弁護士の数も多いので競争は大都市圏のほうが熾烈だと言われる。だが、地方は確実に1人当たりの事件数が減っている。

新人の就職難を反映し、司法修習地でそのまま就職をする新人弁護士たちが、地方の弁護士数を近年押し上げており、その分1人当たりの事件数が減る結果になっている。

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