2月22日は「猫の日」全国各地を走るネコ列車 車両デザインから駅長まで「鉄道と猫」の縁

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たま電車のコンセプトは「ネコロジー」で、外観は白を基調に101匹のたまのイラストをちりばめ、前面にはひげが描かれ耳まで付いている。木を多用してエコに配慮した車内は三毛猫カラーの座席や床、たまのイラストを用いたポスターやのれんのほか、ミニ文庫コーナーもあり、アミューズメント感を盛り上げている。

リニューアルされた貴志駅舎。デザインは猫の顔がモチーフとなっている(筆者撮影)

続いて2010年には貴志駅舎が、たま駅長室やカフェなどを備えた水戸岡氏デザインの新駅舎にリニューアルしている。また沿線の「山東まちづくり会」では年1回、「うちのにゃんこ写真コンテスト」を実施しており、入選作品は一定期間、和歌山電鐵車内に中吊りポスターの形で掲示される。

筆者も数年前にこのコンテストに応募したところ入選したので、応募の時と掲示写真を見る時の2回、家族とともに和歌山に足を運んだ。多くの入選者とその家族や知人が同じような行動を取れば、地方鉄道にとっては相応の乗客増につながるのではないだろうか。

残念ながらたま駅長は2015年に亡くなり、現在はそれ以前から駅長として活躍していた「ニタマ」と、2018年1月から就任した「よんたま」が任務に当たっている。出勤時間はいずれも10~16時で週休2日と、猫に負担を掛けすぎない環境であることは特筆すべきだろう。

岡山には「たまバス」も

岡山を走る「たま電車」(筆者撮影)

ところで、たま電車は和歌山以外にも走っていることをご存じだろうか。両備グループの岡山電気軌道にも、7000型と7100型をベースにした、たま電車が登場した。仕立ては和歌山電鐵のそれに似ており、白をベースとした外観には35匹のたまのイラストが描かれている。

車内も三毛猫カラーでコーディネートされているものの、観光路線の色彩が強い和歌山電鐵に対し、岡山電気軌道は通勤通学や買い物客などがメインということもあり、実用性をスポイルしない程度の装飾という印象だった。

「たまバス」の車体は電車と違って青い(筆者撮影)

岡山には「たまバス」も走っている。2月8日の31路線廃止発表(2月14日付記事「両備・岡電『赤字バス4割廃止』届け出の真意」参照)で全国的に衝撃を与えた両備グループのバスのひとつ、岡山電気軌道バス(岡電バス)に2012年から投入され、現在は10台が走り回っている。

電車と違うのは車体色が青であること。既存の岡電バスが白基調なので差別化を図ったのかもしれない。たまのイラストの数は少なく、車内はそのままだが、運転席上には耳が付き、下にはひげが描いてある。電車に比べ投資規模が小さいバス車両としてはかなりの演出と言えるだろう。

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