あのロナウドがホテル経営に乗り出したワケ ポルトガルからスペイン、米国にも進出

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ロナウドはこのほか、今年中にニューヨークのタイムズスクエア、そして来年にはモロッコのマラケシュに同クラスのホテルを開業する計画で、ポルトガルの2軒と合わせて合計500部屋規模のグループにしたいとしている。その後3~5年内には、ホテルの数を倍増させる青写真を描いている。

ロナウドがホテル業に進出したのは2016年のこと。ポルトガルを中心に世界15カ国で4~5つ星ホテルを運営するペスタナと50%ずつ出資して不動産ビジネスを開始した。ロナウドは経営のまったくの素人ということで、ペスタナがホテル経営のノウハウを提供し、ロナウドが国際的な名声を利用して集客するというジョイントベンチャーである。

体型維持のための個人指導サービスも

一方、ロナウドの「CR7」というブランドは、2013年に下着と靴下から始まり、今では衣料品、香水、靴、アイソトニック飲料などに広がっている。しかし、ロナウドの当初からの夢はホテルを開設することだったという。今回の発表に際しロナウドは、「ホテル業にはずいぶん前から関心を持っていたが、そのチャンスはペスタナ・ホテル・グループのドニシオ・ペスタナ会長との関係から自然にやってきた」とプレスリリースでコメントしている。ちなみに、ペスタナが最初にホテルをオープンしたのもマデイラである。

では、ロナウドブランドのホテルとはいったいどんな感じだろうか。

マデイラにある「CR7プラザ」の入り口には、彼が獲得したトロフィーやメダルなどの展示室もある。49部屋あるこのホテルは主に若者をターゲットとしており、宿泊料も1泊135ユーロ(1万8200円)~と比較的良心的だ。ロナウドは体型管理に力を入れていることで知られているが、それを示すかのようにホテルにはフィットネス設備やサウナ、さらには体型維持のための個人指導サービスまである。

一方、リスボンにある「CR7 リスボン」も同じく若者を顧客の中心に据えている。ホテルの外壁にはロナウドの姿が映写できるようになっているほか、エレベーター内部の壁面にも彼がスポーティング・デ・リスボア、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリードの3チームで活躍した場面を映写。浴室のミラーにはロナウドの顔が写り、絨毯には足跡がデザインされているなど「ロナウドだらけ」の様相を呈している。82部屋あるホテルの宿泊料は、1泊250ユーロ(3万3750円)~1250ユーロ(16万9000円)となっている。

ポルトガルの生活レベルからすれば宿泊料は安くない。しかし、間違いなくサッカー界のレジェントとなるプレイヤーのホテルということを考えれば、決して高すぎるということはないだろう。

実際、ホテルの経営も悪くないようだ。ペスタナは、ポルトガルのCR7の業績は開示していないが、同社の2016年のアニュアルレポートによると、海外からの観光客が増えていることもあって、ポルトガルでのホテル収入は前年比12%伸びている。

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