「30歳目前の銀行員」が転職を決めた真の理由 マイナス金利やAIのせいだけではない

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冒頭で紹介した田島さんのように、「将来、どんなポジションにいたいか」を見据え、それに近づくために今どうすればいいかを軸に考える。それが、転職の成功だけでなく、中長期視点でのキャリア構築を成功させる秘訣といえるだろう。

これとは別に、銀行出身者が転職を成功させるために、重要な要素がある。それは「周囲から反対を受けても、意思を持って行動に移すことができる」ということだ。

”嫁ブロック”という言葉があるように、妻が夫の転職に難色を示すケースは多い。やりがいを感じられる企業に出会い、内定にこぎつけても、妻や親からの反対で、転職を断念する人も実際にいる。知名度も待遇の高い銀行からの転職にもなると、周囲の反対も強くなりがちである。

家族と共有し、合意形成しておくこと

では、スムーズに転職できている人は、どのように家族の理解を得ているのか。うまく運ぶポイントは、転職活動をスタートする段階から、配偶者と「共有」しておくことだ。内定を得てから相談したのでは、「相談もなく勝手に進めるなんて」と、反発を受けてしまう。どんな会社かもよくわからないのだからそれも当然だろう。

応募から面接などのプロセスの中で、その都度「どう思うか」と意見を聞き、「自分はこうしたい」と思いを伝える。そのように、一緒に進めるというスタンスで合意形成をしていった人は、家族の理解と協力を得て転職成功を果たしている。

ここ1年ほどで、転職を考える銀行出身者が増加し、彼らを受け入れる業種・職種の幅も広がっている。つまり、「銀行出身者のキャリアパス」のモデルが、多様化しながら増えていくことになる。その中から新たに、理想のロールモデルが生まれてくるかもしれない。転職を1つの選択肢として考える人は、固定観念に縛られることなく、可能性を探ってみてほしい。

福元 崇之 リクルートキャリア エージェント事業本部 金融不動産営業部 マネジャー

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ふくもと たかゆき / Takayuki Fukumoto

東京海上日動火災保険株式会社を経て、2007年リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。金融業界、コンサルティング業界の法人営業、金融専門職領域の求職者のキャリアアドバイザーを経て、現在は金融業界のハイキャリア層から若手人材まで幅広く転職支援を行うグループのマネジャー。

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