「30歳目前の銀行員」が転職を決めた真の理由 マイナス金利やAIのせいだけではない

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過去に銀行出身者を採用した経験を持つ企業からは、「真面目で誠実に仕事に取り組む人が多い」、「出した指示に対して忠実にこなす力がある」という声も聞こえてくる。

同時に銀行出身者の転職希望も増えている。リクルートキャリアが提供する、転職支援サービス「リクルートエージェント」に登録する銀行出身者は、2016年に比べて1.3倍まで伸びた。

大きなきっかけは2016年のマイナス金利導入だ。おカネを企業などに貸し出し、その利息で稼いでいた銀行にとって、金利の低下は柱となるビジネスモデルに、大きなダメージを与えているのだ。

また、AI(人工知能)やフィンテックの台頭により、仕事の省力化が可能となってきた。銀行業界は、ビジネスと業務の方法の両面で、転換を迫られている。

そんな中、先行きに不安を感じた人たちが「この先、自分にどんな選択肢があるか」という可能性を探りに、転職エージェントに訪れている。特に20~30代半ばの層が、「キャリアチェンジを図るならチャンスが多い若いうちに」と積極的に動いている。

社格や待遇を捨てることができるか

ただ、銀行出身者が転職を成功させるには、2つのポイントが重要になってくる。1つは「自律的にキャリアを考えることができるか」。もう1つは「社格・待遇よりもやりがいを重視できるか」というポイントだ。

銀行出身者が転職活動を始めるとき、多くの方が「社格」と「給与」を重視している。当然、それにこだわり続ける人もいるが、徐々に、あるいは突然、スイッチが切り替わる人もいる。転職活動を通じ、求人企業の姿を知り、考えた方を変える例は少なくない。

「少し興味がある」という程度で転職の求人企業に面接に行き、事業の可能性や働く人たちに魅力を感じて、「仕事のやりがい重視」に転換するケースは多い。面接を通じ、これまで接点がなかった人々と話すことで、視野が広がっていくのだ。

メガバンクに勤務していた20代後半のある女性は、「忙しすぎるのでワークライフバランスを整えたい。大手企業の事務職がいい」と志望して、転職活動をスタートした。が、キャリアアドバイザーとの面談を重ねるうちに、本当に求めているのは「仕事へのやりがい」だと気付いた。結果、「伸びている業界で新しい価値を生み出す仕事がしたい」と、IT系ベンチャー企業の企画職に転職を決めた。

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