6年ぶり刷新、ダイハツ「タント」のこだわり シェア拡大の切り札がついに登場

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車内の広さをアピールする三井社長

スーパーハイトワゴンは子どもを持つファミリー層に人気が高い。新しいタントも、「A型ベビーカーをたたまず車内に収納できる」といった売り文句で、財布を握る主婦などにアピールしていく。

「(ホンダの)N BOXに負けていない」と馬場健二専務が話すように、今回ダイハツは他社をかなり意識して開発に取り組んだことがうかがえる。それもそのはず。近年、税制面での優遇をはじめとする維持費の安さに加えて、商品力の向上やバリエーションの多様化などにより軽自動車の人気は高まる一方だ。メーカーも激しい競争を繰り広げている。

浸食されるシェア

特に火花を散らしているのが、スーパーハイトワゴンの分野だ。もともとタントが切り開いた市場だったが、11年末にホンダが投入した「N BOX」が異例の大ヒットを記録した。国内シェア2位のスズキも今年3月に新型の「スペーシア」を発売。ダイハツは国内シェア30%強を握る首位とはいえ、その差をじりじりと詰められている。またタントの発表と同日、日産自動車と三菱自動車は共同開発する「デイズ ルークス」の外観と内装デザインを発表した(関連記事「タントに対抗し日産、三菱自動車が『奇策』」)。

ホンダ、スズキに押され気味のダイハツは、タントの発売時期を当初予定より前倒しした。これによって、少しでも早く巻き返しを図る。

価格も抑えた。一番安いグレードの価格は117万円とN BOXの126万円、スペーシアの122万8500円より安い。月間販売台数は1万2000台を計画する。

ダイハツは昨年12月に軽ワゴンの「ムーヴ」を、今年8月には軽セダンの「ミライース」を、それぞれマイナーチェンジしており、今回のタント刷新によって、主力3カテゴリーで新製品が出そろった。

はたして国内首位の座を守ることができるのか。軽自動車の覇権争いがますます過熱する。

(撮影:尾形文繁)

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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