西武球団「ドーム大改修」鉄道に効果はあるか 40周年を機に本拠地を「ボールパーク化」

拡大
縮小

プレスリリースによると、「西武グループでは、西武ライオンズの40周年記念事業として、メットライフドームエリアの改修工事を『ボールパーク化』と『チームと育成の強化』の2つの観点から、約180億円を投じて進める」という。

記念事業の狙いと効果、西武鉄道をはじめとする鉄道事業者や埼玉県内の各地域との連携に向けた方針について、同球団の井上純一事業部長に聞いた。

ボールパーク化で何が変わるか

――記念事業の狙いと、見込まれる効果は何か。

メットライフドームとその周辺の路線図(筆者作図)

「1979年にメットライフドームの前身である西武ライオンズ球場として開業したが、1997年シーズンオフから1999年シーズン前までのドーム化工事以外、大規模改修を行ってこなかった。開業当時から比較するとレジャー・娯楽・サービスともに多様化・高度化している。世代や性別を超えて楽しめ、ファンの皆さまが快適に観戦でき、さらにこれまでの球場にない『新しい価値』を提供する必要がある。『ボールパーク化』を進めることで、新たなお客さまにもご来場いただき、現状では少ない平日の観客動員数を増やしたい」

「また、試合休催日にライブやイベントを積極的に誘致し、稼働率を高める狙いもある。選手が練習に専念できる環境整備としては、若獅子寮、室内練習場、西武第二球場などの刷新を行う。前身の西鉄ライオンズ球団創設から70年を迎える2020年も意識して、さらなる飛躍を図るために、記念事業を着実に進めていく」

――ボールパーク化は、周辺のにぎわいにプラス効果をもたらすか。

「施設所有者である西武鉄道との協議が必要になるが、供用開始から相当の年数が経過している狭山スキー場や西武ドームテニスコートの改修とともに、西武園や現在休園中のユネスコ村との一体的な再開発を検討できたらと考えている。エリア全体ににぎわいが生まれれば、ボールパークの活性化にもつながると思う」

――ライオンズは西武鉄道のブランド価値向上や利用促進、グループの精神的シンボルとしての役割を期待されてきたと思う。西武鉄道との連携策はほかにあるか。

「西武鉄道の利用促進は当球団の重要なミッションだ。試合の開催日によって数字は異なるが、当球場への来場者数のうち、鉄道利用の割合は6~7割。西武鉄道と連携して、西武線で『L-train』を走らせている。初代は2010年7月から2013年12月まで運行された。今年度末に引退する9000系使用の2代目の後継として、3代目が1月15日に池袋線と新宿線などで運行を開始した。20000系2本を活用して、外装だけでなく、座席などの内装にも装飾を施し、より西武鉄道とライオンズとの一体感が生まれるよう工夫した。西武鉄道の乗車人員と球場来場者の両方の増加につながればいい」

次ページ西武以外の鉄道との連携拡大は?
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT