今から2年でAI時代の勝者が決まる? ライバル企業に差をつけるIT活用の作法

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「今後2年間が中堅・中小企業の明暗を分ける」と指摘するのは、シンクタンク・ソフィアバンク代表の藤沢久美氏。ポイントの一つがITの本気の活用だ。

―― 藤沢さんは企業経営者とのネットワークをお持ちで、経営幹部向けセミナーや講演なども数多く行っていらっしゃいます。中堅・中小企業の経営環境は改善しているのでしょうか。

藤沢 大手企業からの受注が増えて中堅・中小企業がとても元気になっています。ただし、大手企業次第という点もあり、決して楽観はできないと思います。昨年後半あたりからでしょうか、人工知能(AI)やIoT、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などを軸とする「第4次産業革命」へ向けて潮目が変わったと認識しています。これからの2年で、文字通りの革命、つまりビジネスの主権者が変わるほどの変化に対応するために動き出すことができるかどうか。2年間の使い方で明暗がはっきりと分かれると言っても言い過ぎではありません。

人間が知恵を出せる環境づくりを

では、なにをするのか。まず、AIやRPAにより、さまざまな業務をコンピュータに任せ、自動化されるようになります。また、さまざまなサービス、機能を社外の人とシェアする傾向が強まります。このような状況下では、自分たちの仕事を棚卸しするとともに細分化して、どこで勝負をするのかといった、ビジネスモデルの再構築が不可欠になります。

―― AIやロボットが普及すると、人間の仕事が奪われるという声もあります。とくに中堅・中小企業にとっては経営環境が厳しくなるのではないでしょうか。

藤沢 それは誤解です。確かに、AIやRPAを活用することにより、単純な事務作業は自動化が進むでしょう。

ITの発達により、さまざまな人・モノがつながることによって、さまざまな分野でシェアリングエコノミーが可能になっています。さらにクラウドの普及などによって、最先端のテクノロジーを使うハードルはどんどん下がっていくでしょう。

しかし、顧客との対話によって付加価値の高い提案をすることや、新しい商品・サービスを生み出すといったことは、人間でなければ難しいのです。つまり、今後は差別化できるポイントは人間ということになります。どれだけ人間が知恵を出せる環境を作れるかが企業にとって大事になる。そうなると、企業規模の大小は関係なくなるでしょう。むしろ意思決定の速い中堅・中小企業のほうが迅速に新たなビジネスモデルを打ち立て、勝負に出るといったことが可能になるでしょう。

―― 中堅・中小企業は経営資源に限りがあります。それでも、大手企業と比較してチャンスがあるということでしょうか。

藤沢 そのとおりです。とくにITを活用することによってチャンスが格段に増えていきます。これまで大手企業が対象だったようなさまざまなITサービスが、中堅・中小企業向けに提供されてもいます。そうしたツールを利用することによって仕事の進め方も変えていくことも可能です。

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