オリンピックでゴルフが観たい

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キャスター/小倉智昭

 北京オリンピックの取材は18日間。開幕前は多くの不安材料を抱えていたが、終わってみれば何事もなく、中国政府は面目を一新した感がある。

ただ、広いオリンピック公園に点在する競技会場は距離があるにもかかわらず移動は歩く一方で、脊柱管狭窄症の私は足のしびれとの闘いだった。

ゴルフもワンラウンド歩けなくなり、カート使用不可のコースは無理といった状態でのオリンピック取材。後半に競技会場間の大型カートが登場。体への負担が大幅に軽減してリタイヤせずに済んだが、手術の必要性を実感せざるを得なかった。

前回のアテネでは、日本の16の金メダルを、すべて自分の目で確かめられたことが自慢の種だった。今回はそれ以上を目標にし、かなりの予習と分析に力を注いだ。その甲斐あって金、銀、銅、ほとんどの現場に立ち会うことができたのだが、例外はケイリンの銅メダル。メダルの予想圏内で、会場へ行く準備をしていたところ、予選落ちの誤った情報を入手してしまい、永井清史選手の晴れ姿を目にすることなく終わった。それがなければパーフェクトだっただけに後悔が残る。

野球とソフトボールは今回で終了する競技。スタンドは異様な空気に包まれたが、明暗がはっきりと分かれてしまった。プロとはいえ小粒な顔ぶれで、よいところがまったくなかった星野ジャパン。アマチュアを連れて行けば惨めな思いをせずに済んだのに、とまで酷評される始末。

プロとアマが混在する近代オリンピックではあるが、野球、バスケット、テニス、サッカー、冬季のアイスホッケー等は力の差があり過ぎる。オリンピック精神とは程遠いのが現状だ。

そういえば、同様のゴルフ競技もオリンピックへの参加を希望している。高額の賞金を目指すプロゴルファーが、国の名誉やメダルのためにどれくらい出場するだろう。確かに米国とヨーロッパ勢が対戦するライダーカップに賞金はないという。それでも各選手は必死にプレイし、技術の粋を凝らす。あのモチベーションはなぜ保たれるのか。

全英オープンに片山晋呉プロは出場しなかった。彼にとって、全英はあくまで年間のトーナメントの一試合に過ぎないのだろうか。血眼で出場を願うプロがいるかと思えば、資格があっても不参加のプロもいる。同じことがオリンピックのゴルフにも言えそうだ。歴史のあるライダーカップには参加してもオリンピックは辞退する。メジャーリーガーがWBCには出場するが、オリンピックは不参加というのと同じケースだ。

ゴルフは野球よりはるかに競技人口は多い。オリンピックへの待望論も当然だろう。近い将来、オリンピック種目になった暁には、一流プロに参加してほしい。タイガーやミケルソン等がこぞって出場すれば、世界中のプロもオリンピックを目指すに違いない。となれば、片山プロはどうするのだろうか。

キャスター/小倉智昭(おぐら・ともあき)
1947年秋田県生まれ。東京12チャンネル(現テレビ東京)アナウンサー出身。76年フリーに。現在は『とくダネ!』(フジテレビ系)や『嵐の宿題くん』(NTV系)、『小倉智昭のラジオサーキット』(ニッポン放送)の司会を務めるなど、幅広く活躍中。
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