人望のない人はだいたい「世代の違い」を語る 自分の常識を押し付けると空気はよどむ

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これは私が多くのリーダーと接してきて感じることですが、リーダーがついやってしまいがちなのは、自分が引っ張らなければならない、影響を与えなければならないとの意識が強すぎて、メンバーを自分のテリトリーに引き入れようとすることです。しかし、それは結局、メンバーを自分の価値観に一方的に合わせさせようとすることと、仕事のレベルアップとを混同しているだけのことです。

「世代の違い」に迎合せず、受け入れて活かす

こういう時に“できるリーダー”は、メンバーを自分のテリトリーに引き込むのではなく、相手のテリトリーに、しかも存在感を出さずにうまく入っていきます。強く引っ張る必要がない場面では、メンバーに合わせられることは、できるだけ合わせてしまいます。

ただし、それは「相手に迎合すること」ではありません。中には流行りの歌を覚えたり、若者の言葉やファッションを真似したりする人がいますが、それをしたからといって「距離が近づいた」などと勘違いしてはいけません。そもそも「世代の違い」は何をしても本質的に埋められるものではなく、結局は「わかったつもり」にしかなれないのです。

ここで大事なことは、お互いの違いを理解して、その違いを尊重した関係作りをすることです。

メンバーに自分の意志が上手く伝わらなかったり、相手の行動、態度、言動に違和感を持ったりした時に、「世代の違い」を感じることは日常的にあるでしょう。そんな時に「今どきの若い者は……」に代表されるような言葉を、ついつい口にしてしまう人も多いでしょう。最近は「ゆとり世代」に関する話が多いですが、古代エジプトの記録にも「今どきの若い者は……」というニュアンスの記述があるといいますから、これは時代を問わない人の習性と言えるものなのでしょう。

自分たちの世代では常識だと思うことでも、他の世代にとっては非常識だということはたくさんあります。ここで自分たちとの違いばかりを嘆いても、物事は前に進みません。それを批判するのではなく、相手世代の常識を知り、それを受け入れたうえで折り合い方を考えなければなりません。

「自分の常識」ばかりを押しつけると、チームの空気は確実に悪くなります。“できるリーダー”は、「世代の違い」で言い訳せず、その違いを受け入れて、チームによい空気をもたらすよう工夫します。「世代の違い」を活かすための取り組みを、今からぜひ始めてみて下さい。

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アルファポリスビジネス編集部

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