もはや"小さな太陽"?「夜スマホ」が招く眼病 ノースマホデーのススメ

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画面を直視することが原因となる眼精疲労は、眼球を動かす筋肉疲労が関与している。後藤院長が、2007年に花王のヒューマンヘルスケア研究センターと共同で行った研究では、眼精疲労やドライアイの症状がある人に対し、「40度の蒸しタオルで10分間」温めた研究を行ったところ、ピント調節力やドライアイが改善した。

「目を温めることで、筋肉のコリをほぐし、涙の蒸発を防ぎ、自律神経をリラックスさせるといった効果が期待できます。仕事でのパソコン作業や、スマホを使用した後などに、『10分間の蒸しタオル』を試してみてください。ただし、まぶたは皮膚組織が弱いので、やけどをしないように注意しましょう。蒸しタオルが面倒なときには、市販されている目を温めるグッズも活用可能です」(後藤院長)。

画面の強い光を防ぎ、疲れた目の筋肉は温める。これならば長時間の携帯端末の使用も怖くない。と言いたいところだが、やはり、四六時中はよくない。

”ノースマホデー”を設けよう

「ITの発展で目を使った働き方が主流となり、目からの情報の取得の重要性は増すばかりです。目と脳への情報の氾濫、目の酷使の流れは、当面、続くと思われます。この状況下で、目だけでなく身体への負担は、予防策を講じても完全に防げるものではありません。スマホなど携帯末端との付き合いには節度を持ち、さらには意図的に自然に触れることによって、目も身体も休ませる必要があるのです。私自身も、携帯端末は文明の利器として便利に使用していますが、月に1日でも『ノースマホデー』、寝る前の数時間は必ず『ノースマホタイム』を設けるよう心掛けています」(後藤院長)。

便利なツールに振り回されることなく、目と身体を守るために、休憩を意識してとってみてはいかがだろうか。

安達 純子 医療ジャーナリスト

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あだち じゅんこ / Junko Adachi

東京生まれ。医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。大手企業のOLから転身。フリーランスの雑誌記者としてさまざまなジャンルの取材を行う中で、病気の発生メカニズムに興味を持ち、医療関係の記事の執筆に比重を置くようになった。現在は、先進医療といった最新の医療状況をはじめ、免疫疾患や感染症などに強い関心を持つ一方で、生活習慣病といった身近な病気を対象とした記事を数多く新聞等で連載中。身体に個人差がある中で、その人にとっての健康とはなにか。病気の仕組みはどこまで解明できるのか。また、未知の病気の正体はどこにあるのかなどをテーマに現在取材を進めている。

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