パナソニック大攻勢、白モノ市場に波紋

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パナソニック大攻勢、白モノ市場に波紋

9月中旬、松下電器産業が都内で開いた白モノ家電の製品発表会は、家電業界の新商品披露会としては異例ともいえる規模だった。国内で初めて登場する「Panasonic(パナソニック)」ブランドの白モノ家電を一目見ようと、会場にはマスコミや家電流通業界の関係者ら約1500人が詰めかけた。

ブランド完全統一で怒濤の広告宣伝

松下電器産業からパナソニックへ--。同社は創業90年目にして松下の冠を外し、10月1日付で社名をパナソニックに変更。併せて、冷蔵庫や洗濯機をはじめとする白モノ家電などで使用し続けてきた「National(ナショナル)」ブランドにも別れを告げ、住宅設備関連を扱う子会社・松下電工も含めたグループ全商品をパナソニック・ブランドへ完全統一する。

ナショナルブランドは、81年前の1927年に創業者の松下幸之助氏が新聞で見た「インターナショナル」という文字をヒントに考案し、自転車用の角形ランプで初めて商標を使用。その後、同社の家電製品に広く採用され、国内では長く家電製品の代名詞として親しまれてきた。一方で88年に国内外のAV製品をパナソニックに統一、2003年には海外で販売する白モノも同ブランドへと変更した。だが、国内の白モノ家電製品は歴史のある「ナショナル」を使い続けてきた経緯がある。

商品発表会の冒頭、大坪文雄社長は「これまで松下、パナソニック、ナショナルの三つに分散してきた価値を一つにまとめ、グループ全社員の力を結集し、より高いレベルに会社を発展させたい」とあいさつ。10月から発売する冷蔵庫やエアコン、ドラム式洗濯乾燥機、掃除機の新商品群は、ブランド完全統一の記念すべき第1弾となる。

白モノの国内販売・マーケティング戦略を担当する高見和徳常務役員は「単にナショナルからロゴが変わりました、というわけにはいかない。(ブランド統一を今年1月に発表してから)時間的な制約はあったが、あえてハードルを高く設定して商品開発を進めた」と言う。いずれも従来のナショナル商品よりモダンなデザインに変え、省エネ性能や機能も大幅に向上させた。

販売面でも力が入っている。新製品展開に合わせて、系列の地域専門店の看板は青を基調にした「パナソニック・ショップ」に刷新。家電量販店の店頭では、白モノ家電売り場の入り口に専用の特設展示コーナーを設置して大々的にアピールする。また「今年は秋から年末商戦にかけて、過去最大規模の広告宣伝を展開する」(牛丸俊三副社長)。10~12月には全ジャンルの商品合計で昨年同時期の1・4倍に相当する10万本ものテレビCMを流し、ブランドが変わる白モノには過去最大の広告宣伝費を投じるという。

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