恋活アプリが単なる「出会い系」ではない理由 安全対策を強化、負のイメージが変わった

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多くの恋活サービスは男性ユーザーに課金するビジネスモデルを取る。価格は1カ月あたり3000~4000円が相場だ。最近では福利厚生として、サービスの課金を肩代わりする企業も出てきた。フリマアプリを展開するメルカリは「プライベート支援の一環」として、社員がペアーズの有料プランを無料で利用できるようにしている。

サイバーエージェントの傘下で、タップルを運営するマッチングエージェントの調査によれば、国内のオンライン恋活・婚活サービスの市場規模は年々増加し、2017年に256億円に到達。2020年には600億円を超え、その後も2ケタ成長が続く見通しだ。

サイバーエージェントグループでは2013年に開始したタップルに始まり、2017年12月までに5つのネット恋活サービスをリリース。GPSを活用し、街ですれ違った登録ユーザーを表示する「クロスミー」、女性からしかメッセージを送信できない「トルテ」、顔のパーツを細かく指定できる「ミミ」など、それぞれに際立った特徴を持つ。

「相手選びの基準は人それぞれで、1つのアプリで展開するには限界がある。コンセプトを明確に分けることで新しいユーザー層を開拓していける」。マッチングエージェントの合田武広社長は、グループ内で複数サービスを展開する背景についてそう語る。

かつての「出会い系」と何が違うのか

サービスの浸透度合いで先行するのが米国だ。今や結婚するカップルの4組に1組がオンラインで出会っているといわれる。ただ日本においては、PC・ガラケー時代から「出会い系サイト」の利用による高額請求、性的被害などが問題視されており、オンラインでの出会いに負のイメージを持つ人が大半だった。

「ペアーズ」を始めとして、恋活サービスで結婚につながるケースも少なくない(記者撮影)

それがここへ来て大きく変わり始めた。前述のようにユーザー数が急拡大するのに加え、利用していることや出会いのきっかけになったことを隠し立てしない男女が増えている。エウレカによれば、「元ペアーズユーザーを対象に広告のモデルになってくれるカップルを募集したところ、こちらの想像をはるかに超える170組から応募があった」(会社側)という。

特にスマホやSNSを中学・高校から当たり前に使ってきた20代前半の世代は、総じて恋活サービスに対する抵抗感が薄い。フェイスブックが浸透したことで、ネット上に自身の詳細なプロフィールを公開する文化もできた。ペアーズやオミアイは登録時に各人のフェイスブックのアカウントを連携させる必要があるため、それが心理的ハードルを下げている面がある。

合コンや友人からの紹介など、リアルの恋活にないメリットも挙げられる。複数の恋活サービスを併用し、恋人を見つけた男性(26)は「自分の性格的には、最初は面と向かっての会話よりテキストベースのほうが話しやすく、実際に会ってからも会話が弾んだ」と話す。見た目や年齢だけでなく、大卒以上の人、お酒を飲む人、たばこを吸わない人など、細かい条件設定機能も重宝したという。

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