韓国「BTS」が米国ファンを熱狂させる秘密 今までのK-POPグループと何が違うのか

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K-POPファンの数も着実に増えている。世界最大の韓流フェスの米国版「KCON USA」は、2012年以来、ロサンゼルスで開催されており、毎年6万人のもの韓流ファンが集まる(ちなみに、KCONはこのほか、メキシコや日本でも開催されている)。

今後は、アメリカの若いファンが、シングル以上にアルバムに魅力を感じるようになるにつれ、BTSが自分たちの音楽スタイルをどの程度深く追求しようとしているのかが問われる。

BTSがリスクを取ったとしても

ビートルマニアと比較するなら、ビートルズは、ホワイト・アルバムを発表し、それまでのサウンドから本当に決別した時点で、すでにアメリカで最も人気のあるバンドの1つだった。 一方、BTSは、2014年の『DARK&WILD』から彼らのサウンドを進化させている。それまでのボーイズバンドのスタイルとは一線を画したバンドとしての曲を発表したといっていい。おそらく次のアルバムは、彼らのパーソナルな音楽スタイルに近づいた大胆なものになるだろう。

こうした変化は、ファンに受け入れられるだろうか。K-POPが、たとえばダブステップのように、もっと緻密に定義されたサウンドを持っていたなら、そこから離れすぎると音楽がジャンルに合わなくなり、さらには、ブロステップという言葉がダブステップの派生物を説明する言葉として分裂してしまったのと同じ状態になる可能性がある。

しかし、BTSファンの熱狂的な支持を考えれば、リスクをとってこれまで以上に本当に彼ららしい音楽を見せたことでファンを失うとは考えがたい。結局のところ、本当のファンが関心を持っているのは、彼らの真の姿なのである。「自分たちの音楽を作るために最善を尽くすことが、一番の努力なのだと思う」と、韓国のヒップホップの先駆者であるTiger JKも言っている。

多くの米国メディアが、2017年は「K-POPがアメリカで大ブレイクした年」と評価している。その先導役となったのはBTSである。これを皮切りにさらなる韓流ブームが起きるのか。K-POPファンならずとも気になるところだ。

ティム・ポール デジタル戦略コンサルタント(在シアトル)

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Tim Paul

インターエージェンシーLLC代表。米国ワシントン州シアトルを活動拠点にデジタル媒体におけるマーケティング専門家。クライアントにはNewBalanceなど大手企業多数。緻密なデータ分析から導き出すクリエーティブなネットマーケティング・コンサルテーションには定評がある。シアトルのグランジミュージック・シーンを牽引した伝説のバンド、Gruntruckのベーシストだった過去をもつ。

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